病院を出た後の3人がどうなっていくのか。余韻の残るラストシーンだ。

鶴瓶:どんな状況でも前に進んでいくという気持ちが出ていますね。最後、Kの主題歌(「光るソラ蒼く」)で救われましたね。優しさがすごくある、いい歌やなと思いました。

小松:私はもっと重い感じの作品になっていると思ったんですが、人びとが寄り添っていて、ひとりひとりの生命力が画面から伝わってきて。それぞれが背景に抱えているものは大きいけれど、その中でも葛藤しながら生きているというのがちゃんと出ていて、すごく考えさせられましたし、勇気をもらいました。

綾野:まさにみんな「それぞれの朝」を迎えているんだろうなと思います。目を覚ましてまた朝を迎えるという当たり前のことが、当たり前じゃない人たちがたくさんいる。彼らにとっては一日一日がすごく緊張することなので、朝が来て安心する人や、絶望する人もいる。それでも作品の中で全員がそれぞれ立ち上がるので、希望がありますね。

鶴瓶:みんなどん底まで落ちて、そこからちょっとずつあがっている。観た人に希望を持ってほしいというのはあります。立ち上がることで希望を持つということでしょうね。

(編集部・小柳暁子)

AERA 2019年10月28日号