立命館でも寄付金と資産運用を中心に学費以外の収入の確保に努めているという。ランク外だが、青山学院も18年度、卒業生で理事長も務めた元ソニー会長の故・万代順四郎氏の名前をとった「万代基金」を運用開始。給付型奨学金と教育研究費を増やすのが狙いだ。

 成長性を示す基本金組入率は、収入のどれくらいを将来の投資に回しているかをみる指標だ。トップは東京理科で65.85%。従来、貸借対照表の「特定資産」などに入っていた250億円を、学生の奨学金や教育研究費などに使う「第3号基本金」に移したことで数字が跳ね上がった。大学として奨学金に取り組む姿勢を示したというわけだ。

 2位の東洋は、各種ある指標の中で基本金組入率は最も重視している指標の一つだという。東洋は純利益1位、収益性も2位と多くの項目で高い数値となり、今回の経営力分析で最も輝きを見せた大学の一つ。

 一方、3位に食い込んだ日本女子は「図書館と体育館を新築したことによる」と説明する。寄付金の効果で各指標が高くなると同時に、現在進行形で教育環境が充実していることが見てとれる。

 最後は、財務の健全性を示す自己資本比率だ。企業で言えば、会社にあるお金や財産のうちどのぐらいを自前でまかなっているかを示し、銀行などがお金を貸すときに最も重視する指標の一つだ。企業では40%を超えると健全経営と言われる。

 分析した33大学はいずれも70%を上回っており、企業の基準で言えば全大学が「超健全」。大学は校舎などの設備投資の際に必ずしも金融機関から借り入れず、積み立てた基本金を使うことが多い影響とみられる。「高ければ高いほどいい」という数字ではないが、経営方針として健全性を重視している大学もある。

 95.56%でトップだった帝京。広報課は「健全な資産運用を行うことで基本財産を維持・拡大した」結果、高い自己資本比率を維持することができていると説明する。

 2位は94.52%の津田塾、3位は93.97%の京都女子と、東西の女子大が入った。津田塾は「財務の健全性を重視した経営方針をとっており、その方針を反映」した結果だとしている。

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