「誰もがちょっとずつ違います。アスペルガーの子たちは、診断名が登場する前には『ちょっと変わったユニークな子ども』にすぎませんでした。アスペルガーですが、それが何か? 誰が言おうと正論は正論でしょう」

 トゥンベリさんもツイッターで反論している。

「私を嫌う人たちは相変わらず元気です。私の見た目、服、態度、そして人と違うところを、攻撃してくる。あらゆる嘘や陰謀論を考え出す」
「なぜ大人は若者や子どもたちが科学を押し進めるのをバカにしたり、脅したりすることに時間を費やすのか、正直、理解できません」
「私たちに脅かされていると感じているのでしょう」
「でもこんな人たちに構って時間を無駄にしてはいけません」

 トゥンベリさんの気候危機への訴えは続く。サミットにはヨットで大西洋を横断して出席した。その後、50万人が集まったカナダ・モントリオールのデモに参加。今後はゆっくり南下し、チリ・サンティアゴを目指すという。毎週金曜日には各地のストライキに参加しながら。

 学校ストライキもデモ行進も、日本では欧米と比べると盛り上がりに欠ける。女性差別に声を上げたウィメンズ・マーチ(2017年)もそうだった。日本では、間違っていることに声を上げる、行動をすることで変化が生まれる、という考え方が根付かないのか。上野さんからはこんな答えが返ってきた。

「行動以前に日本の若者には政治やジェンダーや歴史についてきちんとした教育が与えられていません、つまり無知。アクションのもとは知です。子どもたちをこれほど無知蒙昧(もうまい)なままにしておく教育のもとで、次代を担う人材が出てくるでしょうか。お寒いかぎりです」

(ライター・溝呂木佐季)

AERA 2019年10月14日号より抜粋