身近なボールペンも、分解してみると知らない仕組みが見えてくる
身近なボールペンも、分解してみると知らない仕組みが見えてくる
子どもたちが持っていた「道具」についての知識。これからどう変わっていくのか
子どもたちが持っていた「道具」についての知識。これからどう変わっていくのか

 たくらみ中学年(小学3・4年生)クラスでは、「技術や仕組みは応用できる」を合言葉に夏休み明けより新プロジェクトに取り組んでいます。身近な材料を使ったものづくりができるとあって、子どもたちの期待感も高まります。

子どもたちの発言を書き出したものはこちら

「みんなに聞きたいんやけど、『道具と機械』という言葉を聞いたら、どんなことを思い浮かべるかな?」

 探究堂のプロジェクト学習の進め方にもすっかり慣れた彼らはすっと挙手して、自分たちの考えを述べ始めます。

「機械は電気で動くイメージがあんねんなあ」

「機械は人が何もしなくて動くんちゃう?例えば、お掃除ロボとか」

「ペッパー君は人型ロボットやもんね」

「車もエンジンで動くし、機械やと思うわ」

 どうやら「自動」という要素が、機械かそうでないかを分けるポイントの一つだと捉えているようです。

 道具に関しては以下のような意見が挙がりました。

「道具って、何かを作るために使うもんなんちゃう?」

「作るだけじゃなくて、修理の時とかにも使うで」

「いろいろな目的のためにあると思うねん」

「包丁やフライパン、炊飯器もキッチンで使う道具でしょ」

「学校やったら、鉛筆や消しゴムや下敷きとかかな」

 使用する目的がなく、使いようがないものは道具とは言えないというのが全員の共通見解でした。

 ここで私はあえて、子どもたちの考えをより深掘りするため、質問を投げかけてみることに。

「じゃあ、火って道具なんかな?火があれば、いろいろなものを焼いたりできると思うんやけど」

 この問いかけに対し、たくらみキッズの面々は少し考えるそぶりを見せましたが、最終的に「火は道具ではない」という結論に達しました。

 対象を手でつかめるかどうかが、道具とそうでないものを分ける基準なのだそうです。

 はたして2カ月間のプロジェクトを通じて、彼らの認識にどのような変化が生まれるでしょうか。

 テーマに対する既有知識の確認を終え、早速私はあるミッションを提示しました。

 それは「身近にある文房具を分解してみよう!」というものです。

 近所の100円ショップで調達したノック式ボールペンを見せながら、作業の概要について説明します。

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山田洋文

山田洋文

山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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