「考える会」のホームページ。原田環境相(右)と代表の尾尻氏がツーショットで並ぶ写真も掲載されている(撮影/写真部・高野楓菜)
「考える会」のホームページ。原田環境相(右)と代表の尾尻氏がツーショットで並ぶ写真も掲載されている(撮影/写真部・高野楓菜)
中村氏が「考える会」に1億円を振り込んだ際の振込依頼書。これを皮切りに、計7回、2億2905万円を振り込むことになる(撮影/写真部・高野楓菜)
中村氏が「考える会」に1億円を振り込んだ際の振込依頼書。これを皮切りに、計7回、2億2905万円を振り込むことになる(撮影/写真部・高野楓菜)

 化粧品通販会社「カワイ化粧品」創業者で社長の中村和雄氏(78)が7月下旬、警視庁に「告訴状」を持参した。その中で詐欺事件の加害者として名指しされているのが、尾尻和紀氏が代表を務める「日本の医療と医薬品等の未来を考える会」という団体だ。中村氏は、会自体が「大型の詐欺装置」であると憤りを隠せない。

【写真】中村氏が「考える会」に1億円を振り込んだ際の振込依頼書はこちら

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 尾尻和紀氏が共同でAIのシステム開発をした相手だと中村和雄氏に説明したのは「9DW」という企業だった。この9DWの経営者も、17年7月26日と同9月27日の2回、会の勉強会に講師として登壇した。この席では原田義昭環境相が「皆様がAIをうまく取り入れ、ご活躍されることをお祈りいたします」と参加者に呼びかけたという。

 国会議員会館で開かれ、ベテラン議員や厚労省幹部も出席する勉強会。そんなきらびやかな「舞台装置」に、中村氏はだまされてしまったという。

 中村氏は振り込みをする以前から、政府が関係する事業であることを証明する事業概要書などを求めていた。だが、尾尻氏から「書類はすぐに渡しますが、こんなにいい利権を競合他社に奪われるのが心配です。先に分割でも構わないから意思表示としてデポジットを振り込んでほしい」とせかされ、初回の振り込みに応じた。

 その直後に原田氏を紹介されたこともあり、さらに振り込みを重ねた中村氏。何度か事業概要書を求めたものの、尾尻氏は「そのうち出すから問題ない」などとはぐらかし続けた。18年3月5日から半年間は、何度も電話やラインで連絡を取ろうとしたが、一切つながらなかったという。

「半年たってようやく電話に出た尾尻氏に音信不通の理由を問うと、中国で拘束されていて、たった今日本政府要人とともに横田基地に軍用機で戻ってきて、やっと自分の携帯電話が手元に戻ったなどと荒唐無稽なことを言っていました」(中村氏)

 再び連絡が取れるようになった後、尾尻氏は「事業開始は19年春の予定」と説明。だが2億3千万円が返ってこないこともあって資金繰りに窮したカワイ化粧品は18年暮れ、事実上閉業した。その後も19年春の事業開始に一縷の望みをかけ続ける中村氏に、尾尻氏はこんなラインを送ってきたという。

小泉進次郎代議士も9DWにぞっこんです! 応援をしてくれています! 近々にまとめて連絡します! すごい楽しみです!」(19年3月12日)

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