共産党は4月の大阪12区の衆院補選で惨敗。強力なイニシアチブを取れません。

こうしてみると、自民党に代わる国民の受け皿となるような政治勢力は存在しないことになり、「安定か」「混乱か」という選択になるわけです。

 ただし、変化が生じています。それが良い方向に行くか悪い方向に行くのかはわからないけれど、今まで選挙に行かなかったような層、しかし何かに対して怒っている層を呼び集めるような政党が右と左の両方から出てきました。

 右から出ているのは「NHKから国民を守る党」。いい給与をもらっている恵まれた人たちが、「人権を守る」などと上から目線で言っていてけしからん、引きずりおろせ、と憤っている支持者層と呼応しています。

 もう一つは「れいわ新選組」です。まず名称から考えてみましょう。れいわという形で政治を行うのは元号によって政治を行うということで、右派的です。これは代表の山本太郎さんが、かつて園遊会で天皇に手紙を手渡し「直訴」したことからもわかります。それから新選組というのは率直に言いますと、テロリスト集団です。しかもそこで守ろうとしたのは、守旧派である江戸幕府。どう考えてもその表象はリベラル派や左派と合わない。にもかかわらず一部のリベラル派や左派が強く支持するという流れが生まれています。

 左右両極で今までは泡沫(ほうまつ)と扱われるような政党から当選者が出る可能性があります。

 では、どこに一票を投じたらいいのか。迷った時は心の中で対話して、誰に入れるのが自分のためになり、愛する人のためになるのか、そういった皮膚感覚のところでよく考えてみたらいいんじゃないかな。その場合、与党に入れたか野党に入れたかというのは本質的な問題ではない。自分の投票行動に自分の言葉で責任を持てるということが重要だと思います。

(構成/編集部・三島恵美子)

AERA 2019年7月22日号