一番嫌がられていたのは、死別の良い側面を強調するよう言葉がけ。例えば「これであなたも自分の時間が取れるようになったじゃない」という言葉は、言われた遺族の93%が助けにならなかったと感じていた。「寿命だったのよ」「いつまでも泣いていたら故人が悲しむ」など、慰めや励ましのつもりの言葉が逆に傷つけてしまう場合もある。


 
 60歳のときに母親(享年87)を亡くした女性は、葬儀の後、参列者から「お母さん、大往生でしたね」と言われてつらくなり、遺族外来を受診した。遺族が死をどう捉えているかによって、言葉の受け止め方が変わってくる。遺族のケアでは何が悲しいのかを聞くことが大事なのだが、それが難しいのは、

「遺族を前に、何を話したらいいのか戸惑って、とっさに口にしてしまう人が多いのかもしれません」(石田さん)

 死の話題がタブー視され、遺族への言葉がけにも慣れていない私たち。多死社会を迎え、死について学ぶことが必要な時期にきている。(編集部・深澤友紀)

AERA 2019年3月25日号より抜粋

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