人事部の高梨和歌子さん(26)は言う。

「相手のことがわかれば、自分が否定されているのではなく、自分のための助言と受け止めることができます。心理的安全性が確保されるので、活発な議論ができるようになっています」

 会社でランチ代を補助したり、業務時間内に飲むのをOKにしたりするのは難しいというなら、「コーヒーブレーク」はどうだろう。

 データ分析・コンサルティングのアクロクエストテクノロジーでは、毎日午後3時から15分間、仕事を中断し、一斉に休憩を取る。

 約20年続くこの制度だが、最近、最初の5分間にエクササイズを取り入れるようになった。休憩開始とともに流れるリズミカルなTRFの曲に合わせ、社員たちは談笑しながら腰をそらせたり、スクワットしたりして体を動かす。

 リラックス系の曲に切り替わると、コーヒーの時間だ。

 1杯50円のコーヒーメーカーが置かれたカウンターや、血圧計などの健康管理グッズの周りに集って思い思いに語り合う。話題は昨日見たテレビのAI特集だったり、アップルの新製品だったり。

 新卒6年目の白井智子さん(30)はエンジニアとして入社し、全社員が参加して行われる「査定会」で同僚たちから「営業が向いている」と言われて転身した経験を持つ。

「自分自身が知らなかった自分の適性に気づくことができました。これも、休憩時間などに社内でいろんな人と接する機会が持てるからですね」

 人事などを担当する斎藤隆太朗さん(43)はこう言う。

「急に(飲み会などの)イベントをやるよりも、普段から少しずつ関係を作っていくのがいいのかなと思います」

(編集部・深澤友紀)

AERA 2018年12月3日号