メインのラーメンはクサいぐらいの「ドとんこつ」でとてもおいしいんですけど、ラーメンのほかにおでんがあるんです。何十年もつぎ足してるスープはさらりとしていながらコクがある。ごろっとしてプルプルの、アキレスっていう牛筋が入ってるのも特徴です。それにね、春菊が絶品なんですよ。北九州特有の、葉っぱの形が丸い「ローマ春菊」っていうのがあるんですが、これをおでんのスープで湯がいて出してくれる。歯ごたえの残った春菊の香りが最高です。

 それにね、どういうわけか北九州では、うどん屋さんにおはぎが置いてあるんです。昔は当たり前だと思ってました。博多の中洲ほどじゃないけれど、北九州にも屋台が集まるエリアがあったんですよ。最近はどんどん数が減ってしまったけど。

 今はTVQ(テレビ東京系列)で九州各地の食材探訪をするグルメ番組「ごちそうマエストロ」にレギュラー出演しているので2週間に1度は帰ります。そのたびに「いいところだなぁ」と実感しますね。

 方言も独特。なんとかっちゃって、なんでも最後に「ちゃ」をつける。東京から見れば、博多とは近いのにまったく方言が違うんです。

 バラエティー番組などで福岡ロケに行っても、打ち上げは大抵、博多になっちゃう。北九州ってガラの悪いイメージがあるんですよね。今はずいぶん改善されて、むしろ安全なんですが……。おいしいお店もいっぱいあるのに、もったいない。今度、打ち上げは北九州でやろうって提案してみようかな。

(構成/浅野裕見子)

AERA 2018年12月3日号