Oさん:私も質問したいから、直接電話して予約しました。「何曜日の何時ですね。行きます!」って。

Hさん:そこを面倒くさいとか、先生にわるいとか言ってちゃダメなんですね。私は言えないほうでした。

Oさん:私も最初はそう。でも6年になって背に腹は代えられないし、もう、娘より私が「合格がほしい 」とさえ思ったんです。だから、いかに子どもと先生をつなげるかということが大事でした。

安浪:最後に、中学生の親になったみなさんが、今だから言えるアドバイスをお願いします。 

Oさん:入試は結果ではなく、「どういう気持ちで終えたいか」を考えてほしいと思いますね。第1志望校に合格できなくても、子どもは意外とスッキリしているのに、親御さんのほうが悩んだり、「何が悪かったの?」とショックを受けるケースを見てきました。お母さんには笑顔をキープして、子どもの真の応援者、理解者になってほしい。お母さんががんばったことは、きっと自信に変わりますから。

Sさん:あんなにつらい経験も乗り越えて娘は第2志望の学校に入りましたけど、「中学受験より今のほうがしんどい」というのが、正直なところです。だって中学では、受験で選ばれた子どもたちが集まって、今度はこのなかで切磋琢磨するわけですから。娘の学校は附属小からの子もいるけど、その子たちがみな、表現力がすごいんですね。これは中学受験組がそう簡単に追いつけるレベルではない。だから中学受験で親子ともに燃え尽きないことが大事ですね。私はがんばりましたけど、親も「やればいい」というものでもありません。ただ塾に行かせているだけでも、御三家に入るような子もいるんです。

Hさん:中学に入って私が娘のスケジュール管理をやらなくなったら、案の定、本人だけではできませんでした。でも夏休みにやり方を教えてあげると自分でサクサクできて、娘の成長を感じたんです。小学生のときの娘は幼くて、それでもグイグイやらせていたあの時間は本当によかったのかなって。私の周りにも「うちの子は幼くて受験は無理」となんの迷いもなく公立中に行かせる親もいて、今思うと賢いなと感じる部分も。子どもがぐんと成長する時期は子どもによって違います。それを理解したうえで、受験のサポートをしてほしいと思いますね。

安浪:そうですね。中学受験は人生の通過点にすぎない、と頭ではわかっていても目の前の偏差値に親子ともども振り回されがちです。あまり抱えこみすぎず、風通しのいい環境づくりが大切ですね。

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2018年 秋号 [雑誌]

高濱正伸,安浪京子,tomekko

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AERA編集部
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