不登校の子どもは13万人を超える。不登校の問題は、親と密接にリンクしている。まずは、大人が変わらなければいけない(撮影/今村拓馬)
不登校の子どもは13万人を超える。不登校の問題は、親と密接にリンクしている。まずは、大人が変わらなければいけない(撮影/今村拓馬)
困ったときの主な相談窓口(AERA 2018年9月10日号より)
困ったときの主な相談窓口(AERA 2018年9月10日号より)

 長い夏休みが終わり、新学期が始まった。子どもたちの心が不安定になる時期だ。子どもの変化に親はどう気づき、どう対応すればいいのだろうか。

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「子どもが学校に行きたがらない。どうしたらいいのか……」

 不登校の子どもを持つ保護者を支援する民間団体「子ども教育支援センター」(東京)にはお盆過ぎから、こうした内容の電話相談が一気に増える。8月末から9月にかけて新学期が始まり、わが子が突然、不登校になり戸惑う保護者もいる。

「不登校の子どもは、教師や友だちとの人間関係の悩みを抱えているのがほとんど。夏休みの間は学校に行かなくていいので人間関係に悩むことなく家庭で安らぎを覚えている。しかし、新学期が始まると、またプレッシャーやストレスが強まり学校に行けなくなる」

 と、同センターの健康・教育カウンセラーの矢吹孝志さん。

 センターには年200件近い相談が寄せられるが、そのうち3割近くが8月下旬から9月上旬にかけて集中するという。

 この時期は、子どもの自殺が急増する時期でもある。内閣府が2015年に公表した「自殺対策白書」によると、1972~2013年の18歳以下の自殺者を分析した結果、夏休み明け前後に自殺が集中し、9月1日が計131人と年間で最も多く、最少(計21人)の1月2日の6倍以上だった。

 では、親は子のSOSにどう気づけばいいのだろうか。

「子どもは感情がストレートに表に出やすい。不自然に元気がなくなったり、食欲がなくなったり、頭痛や腹痛を訴えたりしたら、SOSを発している可能性がある」(矢吹さん)

 不登校が始まったら、登校を促す「登校刺激」をしない。家庭が子どもにとって一番安全な居場所になるようにしてほしい、と助言する。

 18歳以下を対象に電話やチャットで無料相談を行うNPO法人「チャイルドライン支援センター」事務局の高橋俊行さんは、とにかく子どもを否定しないでと強調する。例えば「何で勉強なんかしないといけないの」といった一見怠けているような発言であっても、子どもの話し方、ペースに合わせて、子どもが言いたいことを聞くのが大切だと指摘する。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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