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“甘い汁”に大きなツケ 不動産市場を「スルガ・ショック」が直撃

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藤田知也AERA
【全国規模アンケート】不動産投資向け融資の実態は(※AERA 2018年9月3日号より)

【全国規模アンケート】不動産投資向け融資の実態は(※AERA 2018年9月3日号より)

 地方銀行でおびただしい数の不正が発覚した「スルガ・ショック」。融資急減の荒波が不動産市場を直撃している――。

*  *  *
 都内のある不動産会社ではこの夏、閑古鳥が鳴いていた。昨年までは契約手続きで大忙しだったが、今は売る物件が山ほどあるのに、銀行のローンが出なくなり、客が寄りつかなくなっている。

 この会社の社長はこう嘆く。

「スルガ銀行の融資に頼り切って商売していたのが完全に裏目に出た。行員からは『融資を続けますから』と言われるが、実際はまったく承認されない。従業員を減らしてしのいでいるが、もう長くは続けられない」

 ここ数年、中古1棟マンションを売りまくって荒稼ぎしてきた。素人同然のサラリーマン大家を勧誘し、通帳や源泉徴収票などの審査資料を偽造・捏造しては多額の融資をスルガ銀から引き出した。資料改竄は銀行員に指南された、と社長は言う。ウソでも高利回りの家賃収入をうたえば、3~4割の利益をピンハネしても物件が飛ぶように売れ、田舎のボロマンションでも奪い合いになった。

 ところが、シェアハウス投資の運営会社の破綻を機にスルガ銀融資での不正が表面化。金融庁が立ち入り検査に乗り出す事態を招き、審査が厳しくなって改竄資料が通らなくなった。貯蓄や年収を水増ししないと、高額物件を買える客層はグンと狭まるため、取引が一気に低調になった、というわけだ。「甘い汁を吸ってきたツケですね」と社長は肩を落とす。

「スルガ・ショック」の大きさは数字にも表れている。

 スルガ銀が公表した2018年4~6月期の決算では、四半期の個人ローン実行額が162億円と前年同期の7分の1程度に縮んだ。不正が働けなくなった途端、サラリーマン大家向けの不動産融資に急ブレーキがかかった形だ。その一方で、本来は借りられないような属性の顧客らに無理やり貸し込んだツケが回り、不良債権額(金融再生法ベース)は1356億円と前年の5倍近くに膨らんだ。

 不動産投資向け融資を絞るのはスルガ銀だけではない。


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