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100人の漁師を束ねるシングルマザー “取っ組み合いのケンカ”しながらつくり上げたビジネスモデル

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渕上文恵AERA

漁業の6次産業化を進める坪内のもとには全国からの視察団に加え、20代の若者らが「働きたい」と集まってくるという(撮影/中島昌吾)

漁業の6次産業化を進める坪内のもとには全国からの視察団に加え、20代の若者らが「働きたい」と集まってくるという(撮影/中島昌吾)

 約100人もの漁師を束ね、「萩大島船団丸」の代表を務めるシングルマザーがいる。かつては漁師たちとぶつかり合いながらつくり上げたそのビジネスモデルに、今では多くの人が注目している。

 消費者の魚離れ、後継者不足、燃料費高騰……。

 逆風が吹き荒れる漁業の世界で、生産者(1次産業)が製造・加工(2次産業)や流通・販売(3次産業)まで一貫して関わり、より多くの利益を得る「6次産業化」に取り組んで注目を集めるのが、漁師集団の「萩大島船団丸」だ。

 萩大島船団丸が拠点を置くのは、山口県萩市の沖合約8キロ、人口わずか700人の大島(通称・萩大島)だ。大阪など大都市の飲食店に魚を直送して利益を上げるビジネスモデルを学ぼうと、全国の漁業関係者らが足しげく視察に訪れる。

 最盛期には約100人にもなる漁師を束ねるのは、代表の坪内知佳(31)。9年前は、漁業の知識などほとんど持たないシングルマザーだった。

「出身は福井県です。結婚を機に、縁もゆかりもなかった萩市に移り住んだ、ごく普通の専業主婦でした」

 当時、夫と離婚し、翻訳や企画の仕事などを細々とこなしていた坪内。2009年、今は萩大島船団丸の船団長として働く漁師の長岡秀洋(58)からこんな言葉をかけられた。

「俺らの未来を考える仕事、手伝ってくれんか?」

 国内の漁獲高は、1984年をピークに減少の一途をたどっている。先細る収入に全国の漁師が危機感を募らせており、萩大島の漁師たちも例外ではなかった。

「何か手を打たなければ」と模索はするが、いかんせん漁師だけでは知識が足りない。そこで長岡が、パソコンや英語を使いこなせる坪内に白羽の矢を立てたのだ。

 坪内は、政府が、農林漁業者がより多くの収入を得られるよう、6次産業化を推奨しようとしていることを知り、その波に乗ることを長岡らに提案した。長岡の「難しいことはようわからん」の一言で、代表に就任し、萩大島の漁師たちの未来を託された。


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