自分で線条体をうまく使いこなすには、意識して行動と快感を結びつけることだ。 書類作成が面倒なら、前回、同様の書類を作り終えたときの気分を振り返ってみよう。達成感があったなら、きっとまたやりたくなる。達成感を得られなかった、あるいは書類の出来が悪くて仕事としては失敗だったという場合でも、何らかの良かった点を思い出せばいい。

 それでもダメなら、オノマトペ(擬声語)が有効だ。

「さあ、パパッとやるぞ!」
「ガーッと始めて、ビャーッとやれば終わる」

 こんな言葉が線条体を刺激する。ただし、オノマトペが効くのは自分に対してだけだ。

 では、上司が部下の、もしくはコーチが選手の、やる気をコントロールしたいときは、どうすればいいのか。篠原さんによると、努力の程度や方向性、取り組んでいること自体をほめることが重要だ。

「頑張ってるね。尊敬するよ」

 などと、結果ではなくプロセスをほめる。チョイスするべきは、肯定ワード。逆に、

「素質があるよ」

 はNGだ。落ち込んでいるときならまだしも、タスクに取り組むにはまったく効かない。

 怒って発奮させたら部下がやる気になったと感じる人は少なくないが、ネガティブな言葉では線条体は活動しない。叱られたことで「自分はもっと頑張れる」とプラスの自己イメージが生まれればいいが、そもそも自己肯定感が低い集団にはそれは通用しない。

 世界の先進国で最も若者の自己肯定感が低い今の日本には、そぐわないやり方だ。(ライター・島沢優子)

AERA 2018年3月26日号より抜粋

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