■中身はハイリスク
たとえば100万円を投資した場合、販売手数料がゼロならその金額でスタートできるが、3%の手数料を払うと97万円からスタートすることになる。
信託報酬も年0.2%なら年2000円ほどで済むが、1.5%なら約1万5000円が毎年差し引かれることになるのだ。単純に計算しても10年投資すれば総コストは20万円近い金額に達する。
“金融庁認定”の高コスト商品はまだある。金融商品を一切販売しない「顧客本位」の姿勢を掲げるファイナンシャルプランナーの岩城みずほさんは、こう指摘する。
「貯蓄性保険も、高コストでお金の置き場としてふさわしくありません。低金利で円建て商品が伸び悩んでいることから、保険会社が最近、特に力を入れているのが外貨建て保険です」
米ドルや豪ドルなど日本より金利の高い国の通貨で運用する高利回りで人気を集めているが、満期の前に解約すれば元本割れすることが多いほか、円高で損をするケースもある。
「死亡保障と運用がセットになっているので、両方にコストがかかっています。本来、死亡保障は掛け捨て保険を使い、運用は低コスト投信を使えば安く済むのに、1つの金融商品に複数の目的を盛り込んでいるためにコストの高さが見えにくくなっているのです」
満期まで持てば定期預金より有利な利回りで運用できるのがメリットとされるが、岩城さんはこう断じる。
「年率換算すれば1%に満たないことが多く、元本割れのリスクを受け入れてまで取りに行くリターンではありません。だったら預金と低コスト投信に分けて運用したほうがいつでも換金できるし、コストが安い分リターンも大きくなる可能性が高いでしょう」
■他人が常にうまく運用してくれるわけがない
山崎さんは、保険のコストは見えにくいのも問題と指摘する。
「一時払いタイプの場合、支払った額の15%ほどを保険会社と銀行が手数料として山分けしていると考えていいでしょう。低金利に苦しむ銀行にとって、大きな収益源といえます」
金融庁が指摘する第3の高コスト商品は、「ファンドラップ」だ。金融機関が投資家に代わって投信などを組み合わせ、リスクを抑えた分散投資をしてくれるというセールストークで人気を呼んでいる。
「ラップの仕組み自体に取られる手数料が年間2%程度であるうえに、コストが高い投信で運用される傾向がありますね。そもそも、たとえプロでも他人が常にうまく運用してくれることなど期待できません」(山崎さん)
(ライター・森田悦子)
※AERA増刊『老後資金が1000万円貯まる! つみたてNISAとiDeco入門』より
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