白鵬が休場した翌日、5日目を終えた時点で1勝4敗と不振を極めていた稀勢の里も休場した。古傷のある左胸を5日目の嘉風戦で痛め、5場所連続の休場となった。状況は白鵬より深刻で、次に出る場所で進退を問われる局面になりそうだ。

「初場所前の時点で共に4場所連続休場だった鶴竜は師匠の井筒親方が以前から『次に出るときは進退を懸ける』と公言していたのに対し、久々の和製横綱に対してファンの目は優しく、横審も『まだ余裕がある』というスタンスで『甘い』と言われていましたが、さすがに今回の途中休場で厳しいことを言わざるを得なくなりました」(同前)

 責任感が強いと言われる稀勢の里だが、土俵に上がることも自分の使命だと無理して本場所に出場しては途中休場を繰り返す。結果として、横綱昇進以降の6場所中、15日間を完走できたのは優勝した昨年の3月場所のみ。

「万全な状態でなければ休んでもいいと、何度も休む勇気を求められていたのに。なめていた、と批判されても仕方ない。責任感が強いと言われていますが、出場するだけでなく、出る以上は勝たなければいけない横綱という地位の捉え方が甘いと言わざるを得ません」(同前)

 鶴竜は8日目に勝ち越しを決め、進退問題が消滅した。今のままでは短命横綱まっしぐらの稀勢の里。次の出場がどの場所になるかは分からないが、そこで真価が問われる。(ジャーナリスト・岸本貞司)

AERA 2018年2月5日号