3日目に平幕の北勝富士に押し出され、自ら「完敗」語った白鵬 (c)朝日新聞社
3日目に平幕の北勝富士に押し出され、自ら「完敗」語った白鵬 (c)朝日新聞社
5日目、やはり平幕の嘉風に押し倒されて土俵下まで転落する完敗を喫し、4敗目となった稀勢の里 (c)朝日新聞社
5日目、やはり平幕の嘉風に押し倒されて土俵下まで転落する完敗を喫し、4敗目となった稀勢の里 (c)朝日新聞社

 日馬富士の暴行事件以降、不祥事続きの角界。仕切り直し期待された初場所では、大看板の横綱2人が途中休場してしまう体たらく。今後が心配だ。

【写真】嘉風に押し倒され、土俵下まで転落する完敗を喫した稀勢の里

 まず、白鵬。初日の朝稽古で古傷の右足親指を痛めていたという彼は、さらに4日目、嘉風相手に2敗目を喫した相撲で左足の親指も痛め、5日目から休場した。故障で休まざるを得ないという形だが、本当に深刻なのは故障ではないという。

 昨年末の横綱審議委員会(以下、横審)後の記者会見で北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)が指摘した“立ち合い”である。

「委員会や私個人宛てに相当の批判の投書があった」と明かした北村氏は“張り手”や“かちあげ”が15日間のうち10日以上あるとし、「横綱相撲とは言えない、美しくない、見たくない、という意見だった」と語ったのだ。相手の攻めを堂々と受けて立ったうえで勝つ──。それが番付最上位者の務めであり、そうした価値観が欠如していると指摘されたわけで、恥ずべき話だ。これを受け、立ち合いでの張り手やかちあげを封印して初場所に臨んだ白鵬だが、影響は明らか。初日から危なっかしい相撲が続いた。

「白鵬の立ち合いは『汚い』が定説で、『力が落ちているのをごまかして勝つために、あんな立ち合いをしている』と。なのに彼の師匠は注意せず、一方で他の部屋の親方たちは、白鵬が汚い立ち合いをしてくるのは分かっているのに、それをしのいで勝つことができない弟子たちが歯がゆいと見ていた。結果として白鵬の見苦しい立ち合いは、“王様の耳はロバの耳”的に表立って指摘されることなく、放置されてきたわけです」(相撲記者)

 そんな立ち合いがとうとうやり玉に挙げられ、まともな立ち合いをしだした途端に危なっかしい相撲ばかり……力の衰えが立証された形で、それを痛感しているのは当の本人だろう。

「東京五輪での土俵入りなんて何も決まっていないのに、それをしたいから2020年まで現役と公言する人ですから簡単には辞めないでしょう。ただ、件の日馬富士騒動で現場に居合わせていた当事者の一人でありながら、優勝インタビューの場で観客に万歳させて救済を求めるヒーロー気取り。批判されるのが嫌なタイプですから、案外、負けが込んだらアッサリ辞めるかも」(スポーツ紙デスク)

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