納豆菌で「水質浄化」に世界が熱視線! 河川から家庭用の水槽まで活躍

2018/01/26 11:30

 実験ではインフルエンザウイルス、ノロウイルスへの予防効果、アレルギー症状を緩和する効果なども確認。近年は同様の効果が特定の乳酸菌でも認められているが、では乳酸菌を摂取すれば納豆菌は不要なのか?

「乳酸菌は腸内に常在菌として存在する菌ですが、納豆菌は腸内にもともといるわけではない。腸は『何か違うのが入ってきたぞ』と感じるので、刺激を与えやすいと考えられます」(小林さん)

 なるほど、腸からしてみれば“転校生”的なインパクトがあるわけだ。

 ちなみに納豆1パックに入っている納豆菌は500億個前後。胞子の状態と栄養細胞の状態のものが混在し、両方とも生きたまま入った状態だという。胃に入ると、胃酸で胞子の状態以外のものは死んでしまい、胞子だけが腸まで生きて届くが、前出のウイルスに対する実験では生きている菌でも死菌でも、同等の結果が確認されている。

 かようにすごい納豆菌なのだが、納豆を作るだけでなく、意外な場面で活用されてもいる。

 コヨウ(福岡県みやま市)が開発製造するエコバイオ・ブロックは、水質浄化の目的で河川や池などに敷設されるコンクリートブロック。なんとここに納豆菌が使われている。開発者である古賀雅之会長(60)が話す。

「河川が汚れて濁っているのは、水に汚れ成分(有機物)が溶け込んだ状態です。このブロックをそこに沈めると、ブロックに埋め込まれた納豆菌が、水中で増殖する過程で、餌としてそれらの汚れ成分を取り込んで分解します。結果、魚が棲めるきれいな水に戻るんです」

 セメントペーストは強アルカリのため、微生物は生きていられないというのが定説だが、これを覆したのが納豆菌だった。

 同社が使った納豆菌群は3種類。水に浸けると素早く増殖するもの、比較的緩やかに増殖するもの、そしてカビ菌などの繁殖を抑制するものという三つだ。1キロのブロックに3種あわせて約5億個もの菌を封入している。

1 2 3

あわせて読みたい

  • 納豆菌まるで無敵のゾンビ? マイナス80度でも生存する驚異の生命力

    納豆菌まるで無敵のゾンビ? マイナス80度でも生存する驚異の生命力

    AERA

    1/26

    7月10日は「納豆の日」ネバネバの秘密に迫ります!

    7月10日は「納豆の日」ネバネバの秘密に迫ります!

    tenki.jp

    7/10

  • 乳酸菌はヨーグルト一辺倒よりも「漬物+納豆」で 専門家の「最高の免疫アップ法」

    乳酸菌はヨーグルト一辺倒よりも「漬物+納豆」で 専門家の「最高の免疫アップ法」

    AERA

    5/17

    奈良時代から続く歴史 日本は世界一の発酵食品大国だ

    奈良時代から続く歴史 日本は世界一の発酵食品大国だ

    AERA

    7/19

  • おにぎりは「手の菌をなすりつけてる」?

    おにぎりは「手の菌をなすりつけてる」?

    AERA

    6/7

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す