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早売りの「ジャンプ」で背徳的な優越感…九龍ジョーの「キン肉マン」の思い出

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土曜日のジャンプ。そう口にするだけで蘇る記憶(※写真はイメージ)

土曜日のジャンプ。そう口にするだけで蘇る記憶(※写真はイメージ)

 子どもの頃読んで忘れられない本、学生時代に影響を受けた本、社会人として共鳴した本……。本との出会い・つきあい方は人それぞれ。各界で活躍する方々に、自身の人生の読書遍歴を振り返っていただくAERAの「読書days」。今回は、ライターの九龍ジョーさんです。

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 土曜日のジャンプ。そう口にするだけで蘇る記憶──チャリンコ、夕焼け、不動通り商店街。早売りの「週刊少年ジャンプ」は、雑誌に淫した経験の中でも、とびきり甘美な思い出とともにある。なかでも『キン肉マン』だ。バッファローマン戦がアニメ放送されていた頃、誌面ではすでに王位争奪編が始まっていた。塾の授業も学校を先取りしていて、少しだけ未来を生きている錯覚が、背徳的な優越感を与えてくれる。だからジャンプも、誰よりも早く読みたかった。

 あれから30年が経ち、まさか『キン肉マン』の最新刊を求め、本屋に走ることになるとは。完璧超人始祖編、完結。もはや正義と友情の勧善懲悪は過去のものに。完璧超人、正義超人、悪魔超人、それぞれの言い分はそれぞれに「正しく」、そのイデオロギー闘争はまさしく現在の世界情勢に肉薄している。かつて夢見た未来よりもずっとシビアな現実の中で、進化/深化したキン肉マンが闘っている。(続)

AERA 2017年10月16日号


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