稲垣えみ子「40年ぶり朗読に四苦八苦 オトナになって知る味わい」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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稲垣えみ子「40年ぶり朗読に四苦八苦 オトナになって知る味わい」

連載「アフロ画報」

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稲垣えみ子AERA#稲垣えみ子
稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年、愛知県生まれ。元朝日新聞記者。著書に『魂の退社』(東洋経済新報社)など。電気代月150円生活がもたらした革命を記した魂の新刊『寂しい生活』(同)も刊行

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年、愛知県生まれ。元朝日新聞記者。著書に『魂の退社』(東洋経済新報社)など。電気代月150円生活がもたらした革命を記した魂の新刊『寂しい生活』(同)も刊行

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

*  *  *
 先日、大好きなラジオ番組「ラジオ深夜便」に出ませんかとお声がけを頂きました。新刊を読んでくださったディレクターの方から「平成方丈記」というお題をもらい、原稿を書き、朗読する「ないとエッセー」というコーナーです。

 4夜にわたる放送なので長い原稿を書かねばならず、四苦八苦してようやく仕上げてホッとしていたら、ディレクター様から「一度声に出して読んでみてくださいね」とのご助言が。で、読んでみた。

 こ、これは……む、難しいじゃないか!

 これまで全然意識していなかったが、私ってば実は声がガラガラ。何度咳払いしても変化なし。そして何より、自分で書いたものを自分で読むこっぱずかしさといったら! だが本人が恥ずかしがっていては聞くほうはもっと恥ずかしかろう。開き直ってうまく読もうと頑張ると、今度はものすごく下手くそな小芝居に……。ああもうやるんじゃなかったと大後悔しましたが、もはや引き返すことはできません。

 で、本番では緊張して水を飲みすぎて、おなかがギュルギュル鳴ってそのたびに「すみません、おなかの音が入ってしまいました」と注意されやり直しという情けないオマケまでつき、なんとか収録を終えたのですが、聞けば過去の出演者の方々も散々苦労をされたらしい。かみまくり、早口になり、あまりの大変さに途中でハアと大きなため息をつき……。いやいやどなたもいい年をしたオトナです。立派な肩書をお持ちの方もおられる。それが皆さん「読む」という一見単純なことを前に、立ちすくみ、冷や汗をかき、青息吐息でゴールにたどりついたんだと思うとなんだか笑えてきます。人間ってなかなか悪くない存在です。

 そういえば小学生のころは国語の授業で教科書を朗読するのが好きで、張り切って手を挙げていたっけなあ。うまく読めると物語の中に入り込めるような気がしていたのです。思えば朗読ってあのころ以来。これからたまには家で読んでみようかな。新たな娯楽となるかもしれぬ。

AERA 2017年9月25日号


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稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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