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地獄島?韓国映画「軍艦島」で広がる波紋 どこまでが事実なのか

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澤田晃宏AERA
軍艦島は2015年に世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」の一つ(※写真はイメージ)

軍艦島は2015年に世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」の一つ(※写真はイメージ)

 世界遺産の登録時に日韓の歴史認識が問題になった「明治日本の産業革命遺産」。その一つの「軍艦島」をテーマにした映画が韓国で上映。徴用工問題が再燃している。

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 8月18日、軍艦島の愛称で知られる長崎県の端島炭坑を団体客が訪れた。記念撮影に収まる彼らの手には、こんなメッセージボードがあった。

「日本人は朝鮮人を強制徴用したことを謝れ」

 韓国の光州市議団だった。長崎市によると、8月以降、軍艦島に「韓国人観光客は増えてきている」(観光政策課)という。その背景にあるのは韓国で上映されている映画「軍艦島(グナムド)」だ。劇場リーフレットには「“地獄島”軍艦島、命を懸けた脱出が始まる」とある。第2次世界大戦末期の1945年に端島炭坑で働く朝鮮人徴用工(労働者)のストーリーだ。

●長崎市長も苦言

 その内容は「日本で金を稼げる」とだまされて連れてこられた朝鮮人徴用工が、暑さと飢えのなか、海底1千メートルの採掘場で働かされ、金銭的な搾取や拷問を受けるシーンもある。そうした事実を隠すため、日本人が朝鮮人徴用工を坑道に閉じ込めて爆破しようとするが、これを察知した朝鮮人徴用工が軍艦島から脱出を図るというもの。映画の冒頭では史実をもとに制作されたと説明が入る。

 長崎市の田上富久市長は市議会で映画について、「島は決して地獄島と表現されるような状況ではなかった」と苦言、日本国内でも波紋が広がっている。

 慰安婦問題を象徴する「少女像」に続き、8月12日には韓国のソウルと仁川で「徴用工像」の除幕式があった。なぜ今、徴用工問題が再燃するのか。映画の最後には、こんなメッセージが流れる。

「朝鮮人への強制的な労務があったことを(日本政府は)12月までに報告することを約束しているが、現在それが履行される様子はない」

●日本政府が実態調査

 軍艦島は2015年に世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」(以下、産業遺産)の一つ。登録時、韓国政府は「自国民が強制労働させられた施設がある」と反発。日本政府は「1940年代にいくつかのサイト(資産)において、その意思に反して連れてこられ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと」「第2次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたこと」を説明戦略に盛り込むとして、正式登録に至った。遺産登録で中心的な役割を担った内閣官房参与の加藤康子さんは「産業遺産の推薦書を作成していたときには、このような事態になるとは予測していなかった」と当惑し、こう続けた。


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