山口先生によると、3カ月以内の赤ちゃんは自身をコントロールできないため、何かに注目すると、本当は嫌だと思っていても画面を見続けてしまいます。飽きたらそっぽを向くなど、スマホのコンテンツを自分のペースで楽しんで見られるようになるのは、生後5~8カ月以上です。

 加えて、視力が急速に発達中の0歳のときに長時間スマホを見続けると、近視の原因となるだけでなく、立体視が弱くなる原因にもなると、山口先生は警鐘を鳴らします。最長でも1日に合計で1時間以内にとどめることが必要とも言えます。

 スマホを片手に子育てすることもよくありません。親子の視線が合うことは赤ちゃんの脳の成長にとても大切なこと。授乳しながら片手でスマホを操作することは、控えましょう。

 NTTコミュニケーション科学基礎研究所の麦谷綾子主任研究員は、スマホやテレビに長時間お守りをさせることで言葉の発達が遅れる可能性を指摘します。ただ、絶対禁止というわけではない、とも。

「ポイントは使い方です。長時間は見せない。一人で見続けさせるのではなく、一緒に見て積極的に話しかける。コンテンツを会話や遊びのきっかけとして楽しめば、発達の妨げになる心配はそれほどないでしょう」

●親も理性的な使い方を

 麦谷さんによると、細切れに分断され、一貫性なく育てられた子ネズミには、思春期になる頃、情緒や社会性の面で問題が生じることを示す研究結果があるそうです。それでは、LINEやメールが来るたびに育児を中断させてしまうのも、よくないんでしょうか?

「お母さんやお父さんがスマホの使い方をしっかりコントロールして触れさせることが大切です。そのためにも親自身が理性的な使い方ができているか、見直してみてください」(麦谷さん)

 赤ちゃんにとっては刺激の強いスマホやテレビは、睡眠にも影響します。布団に入る1時間前には利用を終わらせるのがいいですね。

※『AERA with Baby スペシャル保存版 早期教育、いつから始めますか?』より