カンニング竹山(かんにんぐ・たけやま)/1971年生まれ。92年「カンニング」結成。キレ芸で一世を風靡する。9月21~24日に単独ライブ「放送禁止2017」開催(撮影/今村拓馬)
カンニング竹山(かんにんぐ・たけやま)/1971年生まれ。92年「カンニング」結成。キレ芸で一世を風靡する。9月21~24日に単独ライブ「放送禁止2017」開催(撮影/今村拓馬)

「どうしてそこまで怒るの?」「そこまで言わなくてもいいのに」――。このところ、イライラする人や罵詈雑言を目にする機会が多いとは思いませんか? あそこでもここにもいる「感情決壊」する人々。なぜ私たちはかくも怒りに振りまわれるようになったのか。それにはちゃんと理由がありました。アエラ9月11日号では「炎上人(えんじょうびと)の感情決壊」を大特集。怒りの謎に迫ります。

 政治家や野球選手、芸人──。かつては感情にまかせて怒ったこともあったけど、過去を静かに反省し、「怒り」から学んだことを達人たちに聞いた。今回は、芸人のカンニング竹山さんです。

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 僕たちの「キレ芸」が誕生したのは20代後半のころ。相方も僕も借金まみれで、ある日、借金取りが家に来たので窓から逃げて、もう破れかぶれでライブに行って「どうせお笑いやるのも最後だからやりたいことをやってやれ」と思ったのがきっかけです。それまでは正統派の漫才をしていたんですが、その日のライブでは放送禁止用語も含めて怒鳴りまくり、人気芸人のおっかけの女子高生を立たせて説教したり。客は全然笑いませんでしたが、袖で見ていた芸人は大ウケで。大先輩の一人が「いける」と後押しをしてくれ、2、3年かけてキレ芸の形に仕上げていきました。

●相手に愛情があるから

 キレ芸のコツは、自虐ネタで落とすこと。最後は自虐にすると、人への文句ではなくなるんです。恥ずかしさを捨てて大げさにキレると面白くなりますね。

 キレ「芸」ではありますが、自分の中に本当に怒りがないと言葉に魂が入りませんね。僕は子どものころからよく「キサン、うるせー!」と言っていましたし、今でもほぼ毎日、段取りの悪さをマネジャーに怒っています。2手、3手先は当たり前、何パターンにも分かれて5手先まで読んでほしいと思っている。竹山と仕事をしたら気持ちがいいね、と思ってほしいじゃないですか。昔はズカズカ上座に座る後輩にもよく怒っていました。

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