わが子をバイリンガルに育てたいと願う人も多いでしょう。0歳児向けの語学教材も多く、「学習スタートは早ければ早いほどいい」という人もいます。実際にはどうなのでしょうか。

「乳幼児向けの英語教材を一般の日本人家庭の環境で使用したところで英語が身につくとは思えません」

 ただ、幼い赤ちゃんには、世界各国の言葉に出てくる音を聞き分ける能力があることもわかっています。日本語を母語とする私たちは、LとRの音を区別しませんが、生後半年頃までは区別できるというのですから、驚きです。

「1歳までに『グローバル耳』でなくなることは、日本語学習に都合のいいように知覚が整えられる大切な発達過程です。早くにグローバル耳を失う赤ちゃんのほうが、語彙発達が早いこともわかっています」

 7歳頃までは言語に対する感受性の高い時期といわれ、早い時期に英語を聞いているとリスニングがよくなる可能性はあります。ただ、幼児教育に期待しすぎるのもよくないと麦谷さんは言います。

 とりわけ英語と日本語は言語としての距離が遠く、話せるようになるには本人の努力が必須。小中学生になって本格的な英語学習が始まる前に、英語に親しみを持てるきっかけを作ってあげるぐらいの心持ちがいいでしょう。

 赤ちゃんの言語発達のポイントは、わかりやすい語りかけ。赤ちゃんと話すときに声がワントーン高くなる「ペアレンティーズ」と呼ばれる発話の変化も、赤ちゃんの言葉の獲得に貢献しているようです。ペアレンティーズは 1声が高い 2テンポがゆっくり 3文と文の間があく 4抑揚が豊か──などの特徴があり、赤ちゃんにとって聞き取りやすく、単語を切り出しやすい話し方です。

※『AERA with Baby スペシャル保存版 早期教育、いつから始めますか?』より