北朝鮮の攻撃は、差し迫ってはいない。核戦争が起こる瀬戸際にあるかのように話す人もいるが、そういう状況になっていることを示す情報は一つもない」

 さらに、ティラーソン、マティス両長官は、連名で米紙ウォールストリート・ジャーナルに寄稿し、北朝鮮に対しては、従来通りの外交的解決を探るという政府方針を明らかにした。閣僚らの「火消し」で、大統領の面目は丸つぶれだ。

「炎と怒り」で単独、賭けに出たトランプ氏だったが、米領グアム島にミサイルを発射すると何度も威嚇してきた北朝鮮は14日、突然それを引っ込めた。だが、それでトランプ氏が安泰というわけではない。

「トランプ氏は1年持つのか」

「トランプとマイク・ペンス(副大統領)とどちらがひどいか」

 こうした見出しが米メディアで見られるようになった。トランプ氏が弾劾(だんがい)による罷免(ひめん)や、辞任をした場合、合衆国憲法により、ペンス副大統領が大統領に昇格する。

 きっかけは、ロシアとトランプ氏の選挙陣営が共謀し、昨年の大統領選挙に干渉した疑惑「ロシアゲート」に絡み、ロバート・モラー特別検察官の捜査に進展の兆しがあったことだ。米メディアは、モラー氏が、選挙絡みの疑惑に加え、トランプ氏の過去のビジネスとロシアとの関係についても捜査していると報じた。豪邸や高級マンションをロシア人に売却した件や、「マネーロンダリング(資金洗浄)」につながる可能性がある案件も含まれる。

●ペンス昇格の可能性

 さらに、モラー氏がワシントンで大陪審を選定したという報道も、「トランプ危うし」を予見させた。大陪審は、捜査令状や召喚状、さらには起訴状を発行する権限がある。特別検察官を大統領がクビにしても、捜査が続行できるように担保する仕組みとされ、ロシア疑惑捜査が進展した表れとみられる。

 呼応するように、選挙戦中の資金集め団体「トランプ・メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン委員会」からは、トランプグッズの「75%」割引のメールが、頻繁に来るようになった。

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