「バベルの塔」展 気鋭の精密画家が語った「ブリューゲルがこんなに描き込んだ気持ち」とは (1/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「バベルの塔」展 気鋭の精密画家が語った「ブリューゲルがこんなに描き込んだ気持ち」とは

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福光恵AERA

「バベルの塔」1568年頃/これがピーテル・ブリューゲル1世の「バベルの塔」。実際のサイズは59.9×74.6センチ (c)Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands

「バベルの塔」1568年頃/これがピーテル・ブリューゲル1世の「バベルの塔」。実際のサイズは59.9×74.6センチ (c)Museum BVB, Rotterdam, the Netherlands

 16世紀ネーデルラント美術が誇る細密画の巨匠ブリューゲルと、現代日本が誇る気鋭の細密画家・池田学。450年の時を経て、2人のアーティストが東京で出会った。時空を超えてシンクロする2人の世界には、目を見張るしかない。

 数百年の時を超え、2人のアーティストがミーツした。東京・上野の東京都美術館。「ブリューゲル『バベルの塔』展」でのことだ。

 ひとりは、1568年頃のネーデルラントで「バベルの塔」を描いた巨匠ピーテル・ブリューゲル1世。そしてもうひとりは、初の大規模個展が日本国内を巡回中のため、アトリエのある米国から偶然にも帰国中だった現代アーティスト、池田学だ。

●1日に握りこぶしほど

 オープン前の会場で、長い時間をかけて「バベルの塔」を見つめた池田は、開口一番こう言った。

「こんなに小さな絵だったことにまず驚き、なのにこんなにも大きさを感じさせる絵であることにまた驚く。そのギャップもこの絵のすごさですね」

 池田自身は、下絵を描かず、1日に描き進められるのは「握りこぶしほど」というペンで描く細密画で知られる、人気の現代アーティスト。何年もかけて、時には数メートルほどもある大作を仕上げる。

 その作品に、ブリューゲルとの共通点を見いだす人は多い。細部の細部まで、恐ろしいほど丹念に描き込まれた画面。そしてどちらの作品も画面のあちこちでは、無数の小さなモチーフが、息を潜めながら見つけてもらうのを待っている。

 池田は2016年までの3年間、アメリカ・ウィスコンシン州にあるチェゼン美術館に滞在しながら制作し、週に4日は午後の1時間、制作風景を観客に公開して新作「誕生」を完成させた。

「ブリューゲルの影響を受けているの?」

「ブリューゲルが好きなの?」

「ブリューゲルの作品を見たことあるの?」

 制作中、ブリューゲルとの関連性を問う質問が、観客から何度も投げかけられたという。

「もちろんブリューゲルは有名な画家ですから、名前は知っていました。でも、まったく意識したことはなかったので、意外でした。実物を見るのも今回が初めてですね」


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