弁護士ドットコムが運営する法律に特化した公開型Q&Aサービス「みんなの法律相談」には、11年ごろから現在までに「教師によるいじめ」相談が236件あった。担当者はこう話す。

「検索ワードを変えればもっと出てくるのかもしれない。年々増加しているとまでは言えないが、少なくとも今年は毎月のように相談があり、例年に比べて多いと感じている」

「いじめ」と「不適切な行為」を完全に切り分けることは難しいが、いじめ防止対策推進法は「いじめ」を「他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」と定義している。「児童等」に教師も含まれるとしたら、冒頭から例示してきた教師の行為はいずれも、「いじめ」なのではないか。

 教師によるいじめが疑われるケースは近年、毎年のように報道されている。子ども同士のトラブルやいじめに教師が加担してしまう例ばかりではない。年を追ってあからさまになっているようにも見える。

 前出の「みんなの法律相談」に寄せられた中には、いじめアンケートに「仲間はずれにされた」と書いた小学4年の男子児童が、担任教師に書いた内容を消すように仕向けられ、その後、雑巾のほこりを頭にぶちまけられたというケースもあった。男子児童から話を聞いた保護者が持たせた録音器には、暴言も数多く録音されていた。

 なぜ、こんなことが起きるのか。

●いじめに対する感性が鈍くなっている

 都内の公立小学校に勤務する40代の男性教師は、30代の女性教師が鉄琴をあまりうまく演奏できない児童に、音楽発表会で音の出ないバチを渡していたことに気づいた。「発表会は子どもが持っている力を出す場でしょう?」と諭したが納得できない様子。この女性教師は結局、退職した。彼は言う。

「子どもができないと腹が立つ、と話していた。教師は子どものころから優秀だった人が多いので、できないことを受け入れられないのかもしれない」

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