例えば「COOL JAPN 発掘!かっこいいニッポン」(NHK)を皮切りに増えた日本を称賛するテレビ番組。日本スゴイ!と言われたい、排外的には見えないソフトなナショナリズムが垣間見える。

 早川さんはクールジャパンの周辺で、アーティストや広告会社がどのように「愛国ビジネス」に勤しむかに注目している。

「日本、という記号をくっつければ仕事が取れる。そんな『愛国市場』が形成されているとも言えます」

 様々なアーティストやクリエイターが参加したリオ五輪の閉会式にしても、うがった見方をすれば「国策に接近する“営業”」(早川さん)なのだろうが、単にビジネスで終わるのか。

「クールジャパン戦略に乗っているアーティストのみなさんに、原発国策プロパガンダに起用された人たちが、どれだけその後の言い訳に苦労したかを見てくださいと言いたい。メーカー側から見ても、東芝は原発という国策に入れ込んだ結果、破綻しつつあります。国策に近づきすぎると、アーティストとしての寿命が縮むと思いますよ」(早川さん)

(編集部・竹下郁子)

AERA 2017年5月1-8日合併号