なぜ東芝の不正会計見抜けなかった… 「見下された」新日本監査法人 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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なぜ東芝の不正会計見抜けなかった… 「見下された」新日本監査法人

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澤田晃宏AERA#企業#東芝
2015.7.21 第三者委不正会計会見/第三者委員会の報告書を受け、田中久雄社長、佐々木則夫副会長、西田厚聰相談役の歴代3社長を含む取締役8人が引責辞任 (c)朝日新聞社

2015.7.21 第三者委不正会計会見/第三者委員会の報告書を受け、田中久雄社長、佐々木則夫副会長、西田厚聰相談役の歴代3社長を含む取締役8人が引責辞任 (c)朝日新聞社

2017.3.14 決算再延期/不正会計が発覚した2015年以来の再延期。海外原発事業からの撤退方針も表明。東証2部への降格が確実となった (c)朝日新聞社

2017.3.14 決算再延期/不正会計が発覚した2015年以来の再延期。海外原発事業からの撤退方針も表明。東証2部への降格が確実となった (c)朝日新聞社

 沈まぬはずの“電機の巨艦”が1兆円超の巨額損失の渦に飲み込まれようとしている。原因は原発事業の失敗だ。成長期や昭和のニッポンを力強く牽引し、明日は今日より豊かな生活をもたらした名門企業で、一体何が起こったのか。そのとき社員や関係者は何を見て、どう感じたのか。そして何が元凶だったのか。AERA 2017年4月17日号では「苦境の東芝」を大特集。関係者証言やジャーナリストの分析で全貌に迫った。

 東芝の凋落は、内部通報により明らかになった不正会計に始まった。東芝の監査を担当する新日本監査法人が、本誌の取材に応じた。

*  *  *
「全くダメ。やり直し」

 2012年9月にあった月例会議での佐々木則夫社長(当時)の発言だ。パソコン事業の見通しに、残り3日で120億円の営業利益の改善を求め、翌日に報告を出すよう指示をした。証券取引等監視委員会の検査を受け、東芝が立ち上げた第三者委員会の報告書では、こうした厳しいチャレンジ達成要求の具体例が挙げられている。現場は水増しした利益を示すしかなかった。

 第三者委はこうした不正会計によって、08年4月~14年12月の間に1518億円もの利益の水増しがあったと指摘した。

 東芝の監査をする新日本監査法人の責任も問われた。同社は約3500人の公認会計士を擁する国内最大手の監査法人だ。金融庁は「重い注意義務違反にあたる」とし、新日本監査法人に課徴金として東芝から受け取った2期分の監査報酬に相当する21億円、3カ月間の新規契約の禁止、業務改善命令の行政処分を科した。

●東芝の説明に整合性

 金融庁が問題視した不正会計にパソコン事業の「バイセル取引」がある。仕組みはこうだ。

 液晶などの部品を東芝が調達し、海外の受託製造業者に調達価格が外部に漏れないよう料金を上乗せして販売する。受託製造業者はその部品で完成品を作り、東芝が上乗せ金額も含めて買い戻す。この手法自体は製造業では一般的なものだが、一部報道によると東芝は調達時の最大5倍にも達する価格を上乗せし、利益として計上していた。特に期末に必要以上に販売することで、利益のかさ上げをし、パソコン事業の四半期末の営業利益が同月の売上高を上回る異常値になっていた。報告書では「月別の損益状況のみからしてもその会計処理の異常さは一見して明白な状態に至っていた」と指摘している。


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