小島慶子「『JKビジネス』を買春のいい言い訳にするオトナたち」

連載「幸複のススメ!」

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

*  *  *
 東京都議会が児童買春の温床になる「JKビジネス」を規制する条例案を可決しました。18歳未満の就労を禁止し、営業には届け出を義務づけるものです。

「女子高生の自己責任ではないのか」「所詮は金目当ての女の子たちじゃないか」と思いますか?

 いいえ、どんな子どもの性も買ってはならないのです。当人が仕事と割り切っていようと、セックスが好きと言おうと、児童買春を正当化する理由にはなりません。

 中には、家庭不和や虐待、貧困などで苦しみ、周囲に信じられる大人がいない子どももいます。

 性に関する知識が乏しく、NOと言えない子も。その弱みに付け込んで、彼女たちを売り買いする大人の存在こそが問題なのです。

「私なら売春なんて絶対にしない。体を売る女性は自業自得では?」と、買い手の男性の言い分に同調する女性も少なくありません。

 しかし、「私は絶対にしない」と言う人も、暴力を振るわれ、経済的に困窮し、あるいは心に傷を受けて自分を粗末に扱ってしまったり、セックスに依存してしまう精神状態になったら、意志の力だけで自分を守れるでしょうか。NOと言えない状況に陥ることもあるのです。

 性産業に従事する女性は不幸だと決めつけるのは差別だという反論もありますが、整った労働環境のもとで納得して従事している人がいる一方で、暴力にさらされ権利を侵されている人もいます。その最も弱い立場に置かれた人のことを忘れてはなりません。

 性欲を満たすために都合よく「みんな好きでやっているのだ」と考えて、法を侵し、魂の殺人に加担してしまうことがあるのです。

 買われる側の自己責任だと言い張り、性的搾取や性暴力を正当化する人たちを、私は許せません。

 性は売り物ではなく、命そのものだからです。

AERA 2017年4月17日号

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小島慶子

小島慶子

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。対談集『さよなら!ハラスメント』(晶文社)が発売中

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