安全なのはドロップボックスやグーグルなどの共有ファイルに保存して必要な人に暗証番号を渡すという方法……と申し上げると、必ずと言っていいほど役所や大企業のITなんちゃら担当部門の人が「セキュリティーが保証できない」とか言い出すんですね。

 いいですか。これらの共有ファイルは世界のマイクロソフトやグーグルがセキュリティーを管理しているのです。膨大なアクセスからそのシステムを守るために日夜エンジニアが保守している。彼らのシステムが破られるなら、あなた方の会社のちゃちなシステムなんていとも簡単にとっくにブレークされてますよ……と申し上げるのですが、ほぼ理解して頂けない。鉄筋コンクリートで固めた要塞より自分で管理している紙でつくった家の方が安全だと言っているようなものです。アメリカの企業とはほぼこの共有ファイルで仕事が完結しますが、日本の企業や役所と仕事をするといまだに添付ファイルをやり取りすることが極めて多い。揚げ句の果てにそのファイルをプリントアウトしてハンコを押して閲覧したりしているので、めまいがします。

 せっかく導入したマイナンバーもそのコピーを郵送しろ、という依頼が来ます。これでは何のためのIT化なのか。誤配達が起きたら個人情報もくそもありません。

AERA 2017年1月23日号

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ぐっちー

ぐっちー

ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

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