やっぱり紙の本が好き! 作家と装丁家がコラボしたスペシャル本完成 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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やっぱり紙の本が好き! 作家と装丁家がコラボしたスペシャル本完成

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矢内裕子AERA
カバーデザインは、それぞれ3種類のファインペーパーに印刷されている。同じデザインでも、紙の特徴によって印象が変わるのがわかる(撮影/写真部・東川哲也)

カバーデザインは、それぞれ3種類のファインペーパーに印刷されている。同じデザインでも、紙の特徴によって印象が変わるのがわかる(撮影/写真部・東川哲也)

ドイツ装で作られた『本迷宮』の本体。作品ごとに本文用紙が変わっていくのも楽しい。全94ペ―ジ/182×121、背幅11ミリ/定価3000円(税込み)(撮影/写真部・東川哲也)

ドイツ装で作られた『本迷宮』の本体。作品ごとに本文用紙が変わっていくのも楽しい。全94ペ―ジ/182×121、背幅11ミリ/定価3000円(税込み)(撮影/写真部・東川哲也)

寄稿したのは掲載順に、眉村卓、間宮緑、皆川博子、北村薫、倉阪鬼一郎、松野志保、篠田真由美、酉島伝法、多和田葉子、諏訪哲史(撮影/写真部・東川哲也)

寄稿したのは掲載順に、眉村卓、間宮緑、皆川博子、北村薫、倉阪鬼一郎、松野志保、篠田真由美、酉島伝法、多和田葉子、諏訪哲史(撮影/写真部・東川哲也)

イラストも添えられている本文用紙。写っている作品はどの作家によるものか? 実際に手に取ってのお楽しみ(撮影/写真部・東川哲也)

イラストも添えられている本文用紙。写っている作品はどの作家によるものか? 実際に手に取ってのお楽しみ(撮影/写真部・東川哲也)

11月まで開かれた「本迷宮」展の会場。手製本や特装本も展示された。12月27日~翌1月15日、神奈川県藤沢市の湘南蔦屋書店内ギャラリースペースで巡回展を予定(撮影/写真部・東川哲也)

11月まで開かれた「本迷宮」展の会場。手製本や特装本も展示された。12月27日~翌1月15日、神奈川県藤沢市の湘南蔦屋書店内ギャラリースペースで巡回展を予定(撮影/写真部・東川哲也)

「本」をテーマにした小説を集めた「本」に、47人の装丁家と装画家らがデザインを施す。本の未来を占う、スペシャルな展示会に行ってみた。

 日本人ほど「紙」を愛する民族も珍しいのではないか。小さな買い物でも紙袋に入れてくれ、プレゼントにしたいと頼むと包装紙で包んでくれる。

 とりわけ書店では、本を買えば、ブックカバーをかけてくれる。こんなサービスは海外ではないものだ。

 そんなふうに愛され続けてきたはずなのに、ここ数年、紙の本の分が悪い。

「電子書籍で十分」「紙の本はなくなる」と声高に言う人も多い。だが電源もいらず、ページをめくればいつでも読める「本」は、実は無限の可能性があるともいえるのではないか。本の魅力を信じて、作家と装丁家、装画家が集まった美しい展示会に、その可能性をみてみよう。

●デザインも用紙も自在

 白い店内に並んだラックに、色とりどりのファインペーパーが並んでいる。見本帳から紙を選んで、1枚から買うこともできる「竹尾 見本帖本店」(東京・神保町)は、紙好きにはたまらない場所だ。

 企画展やセミナーが開かれるこちらの2階のスペースで10~11月、「本迷宮 本を巡る不思議な物語」展が催された。

 会場には真っ白な壁や棚に、さまざまなカバーデザインが並べられていた。色合いも印象も見事に違うのだが、よく見るとすべてのカバーに同じタイトルが入っている。

 会場で限定発売されたその「本」、展示会と同じ名の『本迷宮 本を巡る不思議な物語』は、ミステリー・SF・純文学・幻想文学などのジャンルを超えて活躍する作家が、「本を巡る物語」をテーマに掌篇を執筆し、1冊にまとめたものだ。

 限定300部で、本の背と表紙、裏表紙の部分を別々に合わせる「ドイツ装」という特殊な造本で作られている。

『本迷宮』にはカバーがない。ドイツ装の本にどのカバーをつけるのか、それは購入した人が選ぶという仕組み。会場に展示されているのは、日本図書設計家協会会員がデザインした24種類のカバーだったのだ。会場で本を買った人は、24種類のデザインの中から好きな3点を選ぶことができた。

 カバー用紙は、1点のデザインにつき、「ヴァンヌーボV スノーホワイト」「エアラス スーパーホワイト」「サガンGA プラチナホワイト」の3種類を用意。印刷も、オフセット4色印刷にUV厚盛という仕様。印刷の専門家でなければピンとこないかもしれないが、実際に本にまとわせてみると、同じデザインでも、用紙によって発色や見え方が異なることに驚く。

 まず、どのデザインにするかで迷い、選んだあとは用紙を決めるのに悩む。本好きにとってはまたとない経験になった。

 ちなみにファインペーパーとは、独特のテクスチャーや豊富な色数があるなど、「紙そのものが持つ魅力を最大限に生かすように作られた」紙のこと。竹尾では、「品質がすぐれた・すてきな・巧みな」という意味の「fine」から「ファインペーパー」と呼んでいるそうだ。こうしたファインペーパーは、印刷するうえでの特徴も備えているので、ブックデザインや広告媒体などに使われているのだ。


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