衆院議員・野田聖子が語る「障害児の息子がくれたもの」 (1/5) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

衆院議員・野田聖子が語る「障害児の息子がくれたもの」

このエントリーをはてなブックマークに追加
深澤友紀AERA
障害児の母として社会の嫌悪を感じてきたという衆院議員の野田聖子さん。障害者施設で起きた殺人事件に「いつか起きると思っていた」(撮影/写真部・長谷川唯)

障害児の母として社会の嫌悪を感じてきたという衆院議員の野田聖子さん。障害者施設で起きた殺人事件に「いつか起きると思っていた」(撮影/写真部・長谷川唯)

真輝くんといると母親の表情に戻る野田さん。真輝くんは胃ろうや気管切開などの医療的ケアが必要だが、元気に走り回ることもできる(写真:野田聖子さん提供)

真輝くんといると母親の表情に戻る野田さん。真輝くんは胃ろうや気管切開などの医療的ケアが必要だが、元気に走り回ることもできる(写真:野田聖子さん提供)

 障害をかかえる息子、真輝くんを育てる野田聖子さん。日々子育てをしながら、また相模原事件を受け、何を思ったか。母親として国会議員として、いまの社会に伝えたいことを聞いた。

──今年7月、神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で元職員、植松聖容疑者(26)が入所者19人を殺害する事件がありました。容疑者は逮捕後の取り調べでも一貫して「障害者は不要な存在」と主張し、ネットではその主張に共感する書き込みも見られます。

 私はこの事件に驚きませんでした。こういう事件がいつか起きるんじゃないかという思いがずっとありましたから。

 息子の真輝(5)は、へその緒の中に肝臓が飛び出す「臍帯ヘルニア」と、本来2本ある心臓につながる血管が1本しかない「心臓疾患」の障害を持っていることが、生まれる前にわかっていました。生まれた後も、食道と胃が分離する「食道閉鎖症」が見つかり、それが原因で気管軟化症となり呼吸が止まったため、気管切開して人工呼吸器もつけました。これまで手術を11回も受けています。

 真輝が生まれてから、障害者を嫌悪する社会の空気をずいぶん吸い込んできたので、今回の事件は、単に用意されていた導火線に火が付いただけなんだと感じたんです。

──どんなときに「嫌悪」を感じてきたのでしょう。

 最初に感じたのは息子に対して「かわいそう」って言われたときです。自然に出てくる言葉で悪意はないんだけど、かわいそうという言葉は上から目線だし、言われた瞬間、排除される感じがした。そこには障害者に対する不要感が漂っている。悪気がないだけ、社会のスタンダードなんだと感じました。

●医療費に「金食い虫」

──「障害者=不幸」と思っている人は多い。

 うちの子はいろいろ不具合があるけど、私の家で十二分の看護体制のもと生活して、保育園だって看護師をつけて通っている。父親は仕事をなげうってまで看護してくれて両親に愛されている。「かわいそう」って言われたらギャップを感じます。私は真輝を障害児と思って育てていない。私にとっては最初で最後の子なので誰かと比べようもないし、「野田真輝」として育てているだけなんです。

──ネットでもいろいろと書かれています。

 たくさんのチューブにつながれて生きる息子は「ばけもの」扱いされました。私は半分母で半分国会議員なんで、国会議員としてはなんともないんだけど、母親としては、見ず知らずの人の言葉の暴力が息子に向けられて、とても恐怖を感じました。「殺すのもやぶさかじゃない」という人たちだから、私が生きている間は息子を守れるけど、死んだあとはどうなるのだろうかと。ほかには、医療費がかかって「金食い虫」と言われたり、「医療費がかかる息子を見殺しにしろ」と言われたりね。


トップにもどる AERA記事一覧

続きを読む

関連記事関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加
あわせて読みたい あわせて読みたい