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理解が追いつかない「発達障害」と生きる 医師も親も迷っている

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by ライター・古川雅子 (更新 )

発達障害の息子を持つ母は、他の子どもとの違いにどうしても目がいったという。息子は以前は公園でひとりポツンと遊んでいた。あえて早朝、誰もいない公園に行った時期もあったという(撮影/写真部・堀内慶太郎)

発達障害の息子を持つ母は、他の子どもとの違いにどうしても目がいったという。息子は以前は公園でひとりポツンと遊んでいた。あえて早朝、誰もいない公園に行った時期もあったという(撮影/写真部・堀内慶太郎)

AERA 2016年5月23日号より

AERA 2016年5月23日号より

2005年に「発達障害者支援法」が施行され、丸11年が経過した。今年は法改正の動きもある。だが、「発達障害」という言葉だけが先行し、困難さを伴う日常への理解と支援の手が追いついていない。(ライター・古川雅子)

「うちの子、なんかおかしい?」

 小学5年生の長女がいる母親は、長女が幼児の頃にそう気づいてから診断がつくまで、気が遠くなるような時間を過ごした。

 ベビー講座でよその子が母親のひざの上で手遊びしていても、長女はハイハイで脱走。歩き始めてからは、店で商品を取ろうと一瞬手を放すと、あっという間に消えていなくなった。自宅ではカーテンをレールごと引きちぎり、ふすまに穴を開け……。歯みがきをさせるだけで、この世の終わりのように泣き叫んだ。

「いつも、ご近所から虐待を疑われ通報されるんじゃないかとびくびく生活していました」

 3歳半健診の時に相談した保健師は、「聞かれたことには答えられるし、子どもはこんなもの」と取り合わなかった。

 たまたま別の地区に引っ越して、巡回の保健師に状況を話すと、すぐに病院につなげてくれた。長女は「自閉症スペクトラム」と診断された。

「ショックはあったけれど、診断がついてほっとした部分もありました。私の育て方の問題じゃなかったんだと」

 自閉症は知的に遅れのない場合、より発見されにくい。

「最初の保健師さんは、スパンッと切るのじゃなく、いつでも連絡できる窓口などの情報を教えてほしかったと思います」

●広範な診断名一括りに

 自閉症はいま「発達障害」の一つに括られている。発達障害と総称される診断名や症状の範囲は、ことのほか広い。2005年に施行された「発達障害者支援法」では、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもの」と定義された。最近は言葉を円滑に話せないチック障害の一部や吃音(きつおん)なども、発達障害に括られている。

 だが、発達障害という言葉の「共通の理解」は無きに等しい。自閉症やアスペルガー症候群など「自閉症スペクトラム障害」は、円滑なコミュニケーションが難しいことなどが特徴だが、おしゃべりな子がいたり、知的レベルが人並み、あるいはそれ以上の場合もあることは知らない人もいる。聞きかじりで「学習障害」のみを思い浮かべたり、「注意欠陥・多動性障害」(ADHD)に見られる片付けの苦手さ、立ち歩きなどの特徴を連想したりする人も少なくない。


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