フィナーレで、葉加瀬太郎さん、西村由紀江さんらの演奏をバックに「WITH ONE WISH~ひとつの願い抱いて~」を歌う岩手県の高校生たち (c)朝日新聞社
フィナーレで、葉加瀬太郎さん、西村由紀江さんらの演奏をバックに「WITH ONE WISH~ひとつの願い抱いて~」を歌う岩手県の高校生たち (c)朝日新聞社

 東日本大震災の被災者を音楽で元気づける「復興支援音楽祭」。3回目の今年は、岩手県内の高校生と一流アーティストが共演した。

「すごい緊張したんですけど、気持ちを伝える合唱ができたのでよかったです」

 釜石高校音楽部の部長、萬海果(よろずみか)さん(17)は、ステージを終えると、声を弾ませた。

 3月30日、盛岡市の岩手県民会館で開かれた「復興支援音楽祭 歌の絆プロジェクト」(三菱商事、岩手朝日テレビ、朝日新聞社主催)。歌の力で東日本大震災からの復興を応援するイベントで、3回目となった今年のテーマは「合唱」だ。

 ステージに立ったのは、釜石のほか、盛岡第四(だいし)、宮古、大船渡の県内4高校の音楽部員総勢51人。そこに、バイオリニストの葉加瀬太郎さん、ピアニストの西村由紀江さん、チェリストの柏木広樹さんの3人の一流アーティストが加わった。

 高校生は合唱を、葉加瀬さんたちは楽器の演奏を披露した。のびのびした若い歌声のハーモニーと、葉加瀬さん作曲の「情熱大陸」をはじめとする優雅な楽器の音色が次々と響き渡る。会場を埋め尽くした約1800人の観客は熱い手拍子で応え、感動して涙ぐむ人もいた。

あの大震災から5年。街を歩くと、がれきに埋もれていた風景は一変し、復興の新たなステージへ歩を進めているように見える。けれど、いまだに癒えない悲しみや心の傷を持つ人は少なくない。歌は、そんな人々の思いをすくいあげる。

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