「展示会で見て気になった3月発売予定の薄手の春コートを取り上げたいと 『STORY』(光文社)の編集長に言われました。この光沢のある生地は読者が求めているからと。雑誌発売日が寒い日で、価格は約4万円。予約販売のみだったにもかかわらず、誌面に商品が出たらよく売れたんです」

 ここ最近は雑誌に服が出たからといって売れ筋になることはまずないというが、光文社発行の雑誌の場合は、発売後すぐに掲載商品が売れる。訴求力が強いのは読者調査の賜物だ。例えば「VERY」15年10月号では「スーパーMARKETで浮かない、秋のオシャレ」とうたった。著書『「女子」の誕生』で女性誌を分析した甲南女子大学人間科学部准教授の米澤泉さんは、 「TPOに合わせた役割ファッションを教えてくれるのが光文社の雑誌」と言う。

 女性にとってファッションとライフスタイルの結びつきは、若い頃から非常に強い。発行部数約25万部を誇る「セブンティーン」(集英社)は女子高校生をターゲットにした雑誌。クラス替え、修学旅行など1年間の催事が決まっている彼女たちにとってもファッションとライフスタイルの結びつきは強い。また学校での友だちの作り方や、昨年夏は戦後70年の話題まで、様々な特集を組む。少子化によりパイが小さくなる中でも部数を確保し、 「女子高生といえばセブンティーン」という地位を築き上げている。編集長の崎谷治さん(49)は言う。

「昔ほどの部数は難しいですが、今程度の部数なら何とか今後も維持できるはず。それには、女子高生の中心に『セブンティーン』があるように、ブランドを育てていく必要がある」

(アエラ編集部)

AERA  2016年3月7日号より抜粋