四条通から東山を見た風景。市バスが走り、八坂神社の朱色の門が見える。寒波に見舞われた平日でも人通りが絶えることはなかった(撮影/楠本涼)
四条通から東山を見た風景。市バスが走り、八坂神社の朱色の門が見える。寒波に見舞われた平日でも人通りが絶えることはなかった(撮影/楠本涼)

 千年の都、ぶぶ漬け、「そうだ 京都、行こう。」……。歴史の古さと敷居の高さで、インテリ外国人も、女磨きのおひとりさまも眩惑する古都の実力を徹底検証。京都って、そんなにすごいんですか?

 大寒波が日本中を襲った1月中旬、底冷えする京都の街で、オフシーズンにもかかわらず外国人観光客はそぞろ歩きを楽しんでいた。祇園・花見小路の入り口に、一風変わった木の立て札。文字は一切ない。

 舞妓さんに手で触れる行為や、歩きたばこ、自撮り棒の使用、ごみのポイ捨てなどを禁止する絵が描かれている。地域住民らで立てたという。

「外国人観光客の増加に伴い、マナーをめぐる苦情は市にも寄せられています。生活習慣や文化の違いから生じるもの。地道に啓発していくしかありません」と京都市産業観光局観光MICE推進室の担当者は話す。

 円安やビザの緩和、格安航空会社(LCC)の登場を背景に、アジアを中心とする観光客急増の波は、京都にも押し寄せている。外国人宿泊客数は、2014年は183万人と前年比62%増。「ハイシーズンは日本人向けの宿が確保できず、淡路島の宿から連れて行かざるをえなかった」という国内の旅行業者もいるほど。

 予想を上回るハイペースで、観光客数が伸びている。それに対し、観光MICE推進室は「満足度を上げ、リピーターを増やしたいと思っています」と話す。

 単に数を増やすのではなくリピーターを増やす。なるほど、「一見(いちげん)さんお断り」の精神か。目先の利益より、信頼関係の構築が先。受け入れてもらうには、まずは京都観光のいろはを知る必要があるのだろう。京都は、関西でも大阪に比べて、欧米から訪れる観光客の割合がもともと多い。そうした地域からの旅行者はリピーターが少なくない。二年坂をパートナーの女性と歩いていたフランス人のJamesLAGUE さんも2度目の京都だ。

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