議会で「政治活動をしている」と名指しされた14団体のうちの一つ「九条の会・さいたま」のメンバーは不安を口にする。

「選挙運動や政党活動はしていない。今後、行政が市民活動の中身まで検閲のようにチェックするようになれば、市民活動全体が萎縮してしまう」

 すでに影響が出始めている。愛知県内で11月に開かれたNPOの政治参加をテーマにしたセミナーで、主催者が告知用チラシを市民活動サポートセンターに置いてもらおうとしたところ、一部から断られた。村田さんはこう嘆く。

「本来サポートセンターは市民活動を支援する組織なのに、自ら規制に回ってしまうなんて。戦前ってこうして始まっていったんだろうと思います」

 近年、護憲や安全保障関連法制をテーマにしたイベントに対し、公共施設の使用拒否や後援名義の取り消しなどが相次いでいる。武蔵大学の永田浩三教授は懸念を示す。

「このところ、政府批判を許さない風潮や、自治体などが勝手に政府の意向を忖度(そんたく)して自主規制する傾向がある。公民館などの公共施設は戦後に民主主義を市民に普及する場だった。そこで言論の自由を守られなければ、民主主義が揺らいでしまう」

AERA 2015年12月28日―2016年1月4日合併号より抜粋