三角おにぎりの表情は日々変える。パーツは海苔パンチでくり抜く(写真:本人提供)
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三角おにぎりの表情は日々変える。パーツは海苔パンチでくり抜く(写真:本人提供)

 忙しいワーキングマザーに“弁当作り”の試練。どうせ作るなら、ラクに楽しく乗り越えたい。一体どんな工夫と段取りをしたらいいのだろうか。

 都内のIT企業ブラケットに勤める千田絵美さん(35)は、娘(5)が預かり保育のある幼稚園に通っているため、1年半前から週4日お弁当作りをしている。

「仕事をしているママ友たちは保育園が多いので、お弁当作りをしている人はまわりにあまりいなくて。最初は不安とプレッシャーがありましたが、慣れてきたら少しずつ楽しくなってきました」と、千田さん。起床は6時半。お弁当のメニューは前日の晩に決める。参考にするのはクックパッドやインスタグラムのお弁当写真だ。

「ネットで幼稚園児のお弁当を見ていると、手の込んだキャラ弁がたくさんあって。こういうのを作れば娘は絶対喜ぶだろうなと思うのですが、時間的に手が回らなくて……」

 このため限られた時間で、できる範囲のカワイイ工夫をしている。その「三種の神器」となるのが、おかずに刺す「ピック」、仕切りとなる「バラン」、おにぎりにつける目や口をくり抜く「海苔パンチ」だ。お弁当グッズは100円ショップや雑貨店に買い物に行ったついでに見て回る。

「娘はピックが好きで40本くらい持っています。ときどき『あのピックは赤ちゃんぽいからやめて。おねえさんぽいリボンのにして』なんて注文が入ることもあります(笑)」

 幼稚園では週1日、お弁当か給食か選べる日がある。千田さんは中休みのため給食を選んでいる。

「でも娘に『お弁当のほうがいい』と言われることもあって。しんどいからムリと思いますが、そう言われるとちょっと嬉しいですね」 

 幼稚園の帰り道では「今日のお弁当、どうだった?」とつい聞いてしまう。「おいしかった」「少し辛かった」など率直な答えが返ってくる。お弁当を真ん中にした会話も、お弁当作りの楽しみのひとつだ。

AERA  2015年11月16日号より抜粋