スポーツの力で明日への力にあふれた日本を実現したい、とうたうJSC。それにふさわしい組織に生まれ変われるか、が問われている(撮影/写真部・堀内慶太郎)
スポーツの力で明日への力にあふれた日本を実現したい、とうたうJSC。それにふさわしい組織に生まれ変われるか、が問われている(撮影/写真部・堀内慶太郎)

 新国立競技場を巡る混乱で、注目を集めた日本スポーツ振興センター。組織の内情を取材すると、根深い問題体質が見えてきた。

 取り壊された国立競技場の近くにある秩父宮ラグビー場の敷地に、日本スポーツ振興センター(JSC)の本部がある。新国立競技場建設に合わせて、2年後に新築移設される日本青年館に同居するまでの仮事務所だ。外には「toto」という黄色い看板、ドアを入ると「BIG、6億円」と書かれた赤いのぼり旗が迎えていた。

 JSCはこれまでアエラの取材に対し、書面でのやり取りを求めるなど、及び腰の対応がめだった。それが一転、面談に応じるというので、やってきたのだ。会議室に通され、しばらくすると池田貴城理事がやってきた。

「広報は私が責任を持って対応します」
 
10月1日付で着任した文部科学省のキャリア官僚だ。見直しが進む新国立問題も、池田理事が本部長として責任を持ち、首相官邸などとの調整に当たるという。

 JSCが取材に応じるようになったきっかけは、9月29日にあると私は考えている。この日、文科省がJSCへの業務評価を公表した。傘下の独立行政法人が公正で効率的な運営を行っているか、監督官庁が専門家の協力を得て評価するこの仕組みで今回、JSCは5段階で最低の「D」とされた。「組織の改廃を含め抜本的改革が必要」とされる水準だ。

 2001年に独立行政法人が発足してから、D評価が出るのは初めてという。「組織運営が不透明」「プロジェクトの責任体制が不明確」「情報公開が不十分」などと問題点が指摘された。いわば「不合格」の烙印を押されたに等しい。

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