絶対的な立場に立つプーチン氏は、ロシアをどこへ導こうとしているのだろうか(※イメージ)
絶対的な立場に立つプーチン氏は、ロシアをどこへ導こうとしているのだろうか(※イメージ)

 ロシアで8割以上の支持率を得ていると報道じらたプーチン大統領。絶対的な立場に立つプーチン氏は、ロシアをどこへ導こうとしているのだろうか。

 クリミア半島を併合、ウクライナ東部の親ロ派を支援、シリアの空爆で世界を揺さぶり続けるプーチン氏の次の一手は何か。

 ヒントを与えてくれるのが、10月22日にプーチン氏がロシア南部のソチで行った演説だ。「バルダイ会議」の名で知られ、世界の有識者やロシア専門家を集めて開く年に一度の国際会議。プーチン氏はこれまでもこの機会を利用して、ロシアの外交指針を示してきた。

 今年の演説を特徴付けているのは、米国に対して例年以上に直接的・具体的に批判・牽制する言葉の数々だ。

 プーチン氏は演説の中で「冷戦の終結はイデオロギーの対立を終わらせたが、地政学的な紛争の種は消えなかった」と指摘した。冷戦が終わっても、大国同士は地域の覇権をめぐって競争関係にある、という主張だ。

 プーチン氏が、米国による一極支配の試みとして、いの一番にやり玉に挙げたのは、欧州やアジアに配備を進めるミサイル防衛(MD)システムだ。

 米国は、欧州に配備するMDを、イランからの核ミサイル攻撃に備えるため、と説明してきた。オバマ大統領は2009年4月にプラハで行った「核兵器のない世界」を目指す有名な演説で「イランの脅威が消えたら、欧州にMDを配備する理由はなくなる」と述べていた。

 そのイランは今年、核開発の縮小で米国やロシアなど関係6カ国と合意した。プーチン氏は「米国がMDを配備する理由はなくなったように思える。しかし、すべては継続されている」と、米国を強く批判した。

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