どうして夫婦はこんなにもすれ違い、争うのか(撮影/写真部・東川哲也)
どうして夫婦はこんなにもすれ違い、争うのか(撮影/写真部・東川哲也)

 多くの夫婦が家事や育児をきっかけに日夜、バトルを繰り広げている。ゴングが鳴るきっかけは、ほんの些細なこと。妻たちは日々苦痛をためこんでいるのだ。

 リクルートワークス研究所は今年7月、子育て中の男女を対象に「働くマザーのストレス調査」を実施した。日常のストレス値のランキングで、妻は日ごろプライベートと仕事の両方に同程度のストレスを感じているのに、夫は仕事関係が大半を占める。夫婦が向いている方向は、かなり違うのだ。

 中でも注目してほしいのは、妻のプライベートのストレス値。1位は「配偶者の性格や態度」、2位は「配偶者の家事への非協力」と、夫から受けるイライラが大きかった。同研究所の大久保幸夫所長はこう語る。

「この結果について男性は一様に驚きをもって受けとめ、女性は当然の結果と納得していた。夫たちは、自分たちがそれほどまでに妻のストレスになっているという自覚はなく、そこに大きなギャップがある」

 こんな意識のズレが、突然、妻の大爆発を呼ぶ。千葉県に住むフリーランスの女性(44)は今夏、こんな手紙を1枚、食卓に残して仕事に出かけた。

「今日から私は家族のための家事をしません。(中略)(これまで)100%『善意』でやってきましたが、みなさんはその『善意』に甘え、それを『当たり前』としか思わず、感謝するどころか文句さえ言う始末です。(中略)みなさんがどうしようと自由ですし、自分のことは自分でやりますので、私の食事の用意なども一切不要です」

 夫(48)と高2の息子、中2の娘への宣戦布告だ。直接のきっかけは、梅雨時に部屋に干していた洗濯物を、夫が鼻にあてて顔をしかめたことだった。

「臭うよ」

 家族と地球環境のことを考えて合成洗剤を避け、仕事を深夜に回してまで家事をこなしているのに。我慢できなかった。

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