都心に実家があれば、問題なく「貸す」という選択ができるのだが、地方だとそうはいかない…(※イメージ)
都心に実家があれば、問題なく「貸す」という選択ができるのだが、地方だとそうはいかない…(※イメージ)

 実家を相続したはいいけれど、売れない、貸せない、壊せない。親が遺した思い出の家は、しばしばきょうだいの不和の火種となる。危険な空き家とみなされ、高額の税金を課されるリスクも。“塩漬け”を避けるためには、どうすればいいのか。

 実家が空き家となっている人には「売る」「貸す」などの選択肢がある。都心に実家があれば、問題なく「貸す」という選択ができるのだが、地方だとそうはいかない。

 青森県弘前市に住むBさん(63)は、昨年4月に一人暮らしだった父親を亡くし、実家が空き家になった。Bさんは言う。

「ウチの周りは空き家ばかりで、独居老人も多い。築三十数年の物件なので、すぐに売れるとは思いませんでした」

 建てた当時は、土地と建物でおよそ2千万円ほどだったが、ネットの無料診断でついた値段は約700万円。駅から約5分の立地で、青森ヒバや秋田杉などいい木材を使って建てた家だけに、正直、安いなと感じたという。だが、こんな気持ちが売却を後押しした。

「壊すのではなく、家をリフォームして売り出してくれることがわかったからです。実家は子どもたちにとっても、おじいちゃん、おばあちゃんとの思い出の場所。住む人が違っても、外観が残っていれば、実家の前を通ったときに思い出すことができますから」(Bさん)

 築年数が古いからといって、諦めてはいけない。中古住宅再生事業を手がける「カチタス」は、他社から「売れない」と言われた全国の物件を「売れる物件」にリフォームするノウハウを持つ。同社の執行役員でマーケティング室長の大江治利さんによれば、「躯体(くたい)が腐っていない」「広い駐車スペースが確保できる」などの条件がそろえば、「売れる物件」になるという。

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