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【ニッポンの課長】特別区競馬組合「馬とともに走り続ける」

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特別区競馬組合「馬とともに走り続ける」決勝審判委員 笹本美穂(44)撮影/写真部・外山俊樹

特別区競馬組合
「馬とともに走り続ける」

決勝審判委員 笹本美穂(44)
撮影/写真部・外山俊樹

 アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。

 現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。

 あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。

 今回は特別区競馬組合の「ニッポンの課長」を紹介する。

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*  *  *
■特別区競馬組合 決勝審判委員 笹本美穂(44)

 馬蹄形のペンダントトップがキラリと光った。夫からのプレゼントだという。

 笹本美穂は、大井競馬場(東京都品川区)の決勝審判委員。順位の判定や、各馬がレースに要した時間の計測が仕事だ。着差がわずか数センチになることもしばしば。決勝線の真正面にある執務室から目視で判定するだけでなく、4台のカメラも“目”を光らせる。順位のデータはすぐに場内の電光掲示板と投票システムに送られ、配当金が決まる。2014年度の馬券購入者は996万人超。競馬ファンの“夢”を背負う。

 審判補佐、オペレーター、カメラなど10人から成るチームをまとめ、ほかの担当者たちと無線や直通電話で連絡を取り合う。1着の馬が決勝線を通過して約3~4分以内に5着までの順位をすべて判定しないといけない。

「昨年のジャパンダートダービーでは、1番人気のハッピースプリントがカゼノコに追い上げられ、2~4センチという微差で1着を逃しました。あの判定は難しかったですね」

 まれに騎手が落馬して馬が逆走するなどのアクシデントもあり、終始気が抜けない。

 日本獣医畜産大学(現日本獣医生命科学大学)では、馬術部に所属していた。卒業後、獣医科医院や牧場勤務を経て、1997年に大井競馬を主催する「特別区競馬組合」に入庁した。馬場管理や約800頭の馬の防疫管理、レースの組み合わせを決定する番組編成などのキャリアを積んできた。2007年から決勝審判業務に携わり、14年から決勝審判委員を務める。100人以上いる職員のうち、女性は15人。年間約100日間の競馬開催期間中は、よほどのことでなければ休めない。中2と小1の育児は、祖父母の力を借りている。

「両親も家族も元気でないと成り立たない。けっこうスレスレです」

 苦労は多いが、駿馬のように輝いていた。(文中敬称略)

※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです

(ライター・安楽由紀子)

AERA 2015年4月20日号


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