この研修をリードする元野村信託銀行の取締役で、同社のチーフ・カタリストである藤岡長道さんは研修の意義をこう語る。

「管理職世代ともなると、自分のやってきたこと、できることの枠にとどまりがちになり、『時間や予算の制約でできない』『私たちの権限では無理』などと言い訳がましくなる。現在の日本は人口減に加え、グローバル化が進み、国際競争にさらされている。管理職は、予定調和を崩し現状を超える行動をしなければなりません。研修を介して、挑戦することの大事さを“体感”してもらう意義は大きい」

 役職定年を迎えたり、役職離脱を余儀なくされたりした中高年を再生させる取り組みとして、人材育成に携る社会人材学舎は「知命塾」というサポートプログラムを実施している。

「組織の中で能力を持て余している人を活性化し、活躍する場をつくっていく取り組みです」(塾長の野田稔さん)

 知命塾は、20人前後のクラスのゼミ方式で、約5カ月の通学制となっている。座学だけでなくグループワークや合宿も行う。費用は60万円。最も注力するのが、「受講者の思い込みを外すこと」(野田さん)。参加者は、自分の職歴や組織、価値観にとらわれているケースが多い。

「40、50代の頭を柔らかくするのは、ダイヤモンドを揉みほぐすようなもの。でもそれぞれの枠を取り払って、習得しているスキルを因数分解すると、ほかの職種にも共通していることがわかります」

AERA 2015年7月13日号より抜粋