
すぎぶち・てつよし/1959年、東京都生まれ。公立小学校教諭となって7年目にユニット授業を開発。子どもたちのやる気を引き出す授業で「教育の鉄人」と呼ばれ、全国での講演のほか、2011年に「ユニット授業研究会」を設立し、若手教師の指導にあたる。現在は東京都清瀬市立清瀬第八小学校の教諭。著書に『子どもが授業に集中する魔法のワザ!』『全員参加の全力教室』など(撮影/写真部・加藤夏子)
どうすれば、子どもが勉強する気になるのか……。そんな悩みを抱える親は多い。「ユニット授業」の生みの親、ブッチー先生が、家庭で子どものやる気を引き出すノウハウを伝授する。
子どもたちは競って算数の問題を解き、感情を込めて国語の教科書を朗読。大きく響く声で歌をうたう。公立小学校で毎年、そんなクラスをつくっているのがブッチー先生こと、杉渕鐡良(てつよし)さん(55)だ。
秘訣は杉渕さんが開発し、実践してきた「ユニット授業」にある。授業は5~10分単位で、教科も題材もコロコロと変わっていく。子どもたちは必死でそのスピードについていくうちに、勉強に夢中になっているという仕掛けだ。
一度授業についていけなかった子でも、短いユニットを繰り返すことで、理解できるチャンスが増えるというメリットもある。この方法で、保護者が「勉強嫌い」と悩んでいた子も、1年間で激変。変化は生活面にも及び、掃除や家の手伝いをやるようになる子もいるという。
どうやって、子どものやる気を引き出すのか。家庭でできるユニット勉強法をブッチー先生に聞いた。
実際に授業で使っているのが、計算問題を渦巻き状に配置した「ぐるぐる計算」。計算問題の合間には「早口言葉を言う」などのアクションの指示も書かれている。計算は小学校低学年からできるレベルで最短2秒、長くても5分もかからない問題ばかりだ。ダラダラ解くのはNG。ストップウォッチを準備して、標準タイムの1分を目指して解いてみてほしい。ハンディをつけて親子で競争したり、何度も繰り返し解いて自己新記録に挑戦したりするのがオススメだ。
教材には簡単な工夫が盛り込まれている。「ぐるぐる計算」は計算式をただ渦巻き形に配置しただけだが、目新しさが子どものやる気を格段にアップさせるという。普通のドリルなら超縮小・拡大コピーするだけでいい。トランプカードを使ってスピード計算をすれば、ゲーム感覚で勉強ができる。
さらに、机の上での勉強と発声や運動など、「静」と「動」を組み合わせるのがブッチー流。「ぐるぐる計算」では間に声を出すアクションが挟まれている。そうすることによって、ダラダラ勉強を防ぎ、より集中力が増すのだという。家庭でやるなら「ベランダで縄跳び10回」「モノマネをする」など、動作をつけるといいという。
紹介した「ぐるぐる計算」のほか、「漢字のうた」や「なんのこれ式」など、ブッチー先生独自の教材はアエラ本誌に掲載している。家庭で実践してみてはいかがだろうか。
※AERA 2015年5月18日号より抜粋