選挙を目の前に、民主党から離党する議員が相次いでいる。

 離党者の「移籍先」は8党にわたる。最多は、昨年末に離党した「新党きづな」経由組を含め、今年7月に結成された小沢一郎氏の「国民の生活が第一」に入った48人。橋下氏がつくった日本維新の会に合流したのが7人、河村たかし名古屋市長ら「減税日本・反TPP・脱原発を実現する党」(脱原発)に合流したのが7人……などだ。

 大阪14区の長尾敬氏に至っては、前回対決した自民党への鞍替えを表明した。大阪府では、前回衆院選で19小選挙区中17区を民主が制し、比例も含めると20人を擁した。だが消費増税法案に反対して4人が生活入りするなど離反が相次ぎ、解散表明後にはさらに長尾氏ら2人が離党した。

 11月上旬には、連合大阪と民主党立候補予定者の面談が行われたばかり。離党者が相次ぐ中で真意を探るのが目的で、平野博文、藤村修の新旧官房長官ら、大物も例外ではなかった。そこで長尾氏は「私が自民党に誘われているという噂も流れていますが、引き続きしっかりがんばります」と明言したという。

 離党表明は、その数日後。党府連事務局長の森本實氏は、「怒りを通り越して不憫だ。地元の自民党も彼を支持するか迷っている。党をあっさり裏切るような人間なんだから当然やろ。離党者のうち、私にちゃんと離党理由を説明に来てくれたのは『生活』に行った1人だけです」。

 生き残りのために「大同団結」をうたう第三極の集合離散に伴い、いたずらに経歴を増やす離党者も少なくない。

 例えば、8月に離党して減税日本入りした小林興起氏は、05年の郵政解散の際に自民党を離れ新党日本から立候補。翌年には国民新党に移り、09年に民主党に移って衆院議員に返り咲いた。減税と、たちあがれ日本が模様替えした「太陽の党」との合流が解散後に頓挫すると、太陽の合流先の維新に移ろうとして減税に離党届を出したが、維新の公認は得られず、減税と亀井静香氏らがつくる「脱原発」に入った。

AERA 2012年12月3日号