まだまだ続く秋の行楽シーズン。家族で旅行に出かける人も多いのではないだろうか。

 とはいっても、やはり週末という少ない日数では行く場所が限られてしまう。マーケティング・リサーチ会社のタイムカレントの調査によると、家族での「国内1泊旅行」や「近場の日帰り旅行」へ行く人が約50%を占めている。

 なかでも、段々肌寒くなってきた今の季節に人気なのが温泉。各旅行会社も「紅葉の見える温泉」など、秋ならではの温泉特集に力を入れている。

 赤ちゃん連れの家族は温泉を敬遠してしまうかもしれないが、最近は赤ちゃんも入れる「単純温泉」のある、赤ちゃん・子連れ歓迎の宿が増えている。

 単純温泉とは、含有成分の量が一定量に達していないため泉質名がついていない温泉のこと。というと価値が低いと思われてしまいがちだが、肌への刺激が少ないからこそ赤ちゃんからお年寄りまで安心して入ることができる、家族旅行にはぴったりの温泉だ。

 宿泊予約サービスを提供する株式会社ゆこゆこの広報で、温泉ソムリエの笠原敦子さんは、「単純温泉といっても成分が単純というわけではありません。含有成分が微量なので即効性は期待できませんが、温泉としての効能はちゃんとあり、石鹸の効きが良く、柔らかく気持ちよく感じるはず」と話す。また、いわゆる“美人の湯”の条件となる水素イオン濃度(pH値)。pH7.5以上だと「弱アルカリ性」、pH8.5以上だと「アルカリ性」になるが「美人泉質の代表が“アルカリ性単純温泉”。アルカリ性の温泉は肌の不要な角質をとるはたらきがあり、美肌効果があるといわれています。なので、弱アルカリ性の単純温泉は、赤ちゃんに優しいだけでなく、お母さんにも嬉しい泉質といえます」(笠原さん)

 そこで、赤ちゃんの温泉デビューに向けて、気をつけたいポイントをいくつか押さえておきたい。

●ぬるめのお湯で、長湯は厳禁
 赤ちゃんとの温泉は、泉質だけでなく湯温にも気をつけたいところ。かといって、ぬる湯に長くつかるのも赤ちゃんはすぐにのぼせてしまうので注意が必要だ。大人が気持ち良いと感じる42度の湯温も、赤ちゃんにとっては熱く、肌がすぐに赤くなるので注意して。

●浴室での移動は足下に注意
 赤ちゃんを抱っこして浴室内を移動する場合は、滑らないように細心の注意を。照明が暗い露天風呂は特に気をつけたい。

●湯船に入る前に、お尻などをシャワーでしっかり洗い流して清潔に
 赤ちゃん・子連れ歓迎の宿でも、あくまで温泉は公共の場。入浴マナーは心得えたい。そして、用を足したタイミングで温泉に入ること。赤ちゃんが温泉の中で用を足してしまうことだけは避けたい。

 以上のことに気をつければ、赤ちゃんと一緒に温泉を楽しむことができるはず。産後、なかなか温泉に行けないというお母さんも、赤ちゃんの温泉デビューを考えてみてはいかがだろうか。

【関連サイト】
赤ちゃん連れにおすすめ! 単純泉の温泉地(ゆこゆこネット)
http://www.yukoyuko.net/onsen_news/ranking/selection_121012.html