海外に比べ、有休がとりづらい状況にある日本。しかしそんな中、日本にも有休取得をすすめる「休める会社」がある。その特徴の一つは、有休を取得する際の「言い訳」ができる仕組みをうまく作っていることだ。

 11年の有休取得率80%と全国平均よりもかなり高い水準にある三菱化学が06年に導入したのが、有休を2日連続で取得すると1日おまけで休める「ライフサポート休暇制度」。

 30歳からは勤続5年おきに、おまけは3日に増えるため、土日を絡めれば最大で9連休が可能。これで有休取得率も5%近く上がった。

 よく働く人ほど仕事が集中し、休みが取れないという悪循環を断つべく、8年前に「グッドジョブ&リフレッシュ賞」を導入したのは伊藤忠テクノソリューションズ。毎年全社から100人程度優秀な社員を選び、10万円分の「旅行権」(換金できないクーポン)を与える。有休消化も進む目論見だ。

 高島屋では07年から有休以外に「スクールイベント休暇」「ボランティア休暇」を設け、子どもや地域との触れあいに時間を割いてもらっている。

「なぜ休むかという説明がしやすいぶん、休暇が取りやすい」

 と担当者。スクールイベント休暇は子どもだけでなく孫の行事の際にも取得できる。

 男性の育休取得を推進する第一生命では、制度整備だけでなく、子どもが生まれた社員の上司に育休取得の案内を送り、それを直接社員に手渡す仕組みも取り入れた。経営企画部の河村悦宏さん(37)は10年に5人目の子どもが生まれた際、上司から「取ってみる?」と聞かれ、「取ります」と即答。3日間の休みを取った。

「それまでは有休をやりくりしたりしてなんとかしのいでいたんですが、この仕組みのおかげで休みがすごく取りやすくなった。結局、子どもが病気になりその看病で休みは終わってしまいましたが、助かりました」

AERA 2012年10月1日号