最初の読者から
『メイド・イン京都』 藤岡陽子 著朝日新聞出版より発売中 藤岡陽子は「ものづくり」を大切にしている作家だ。たとえば『手のひらの音符』では、勤務先で服飾業界からの撤退を告げられたデザイナーが、自分の来し方を振り返り未来を見つめる話で、そのなかに京都で西陣織の再起を目指す人物が登場する。あるいは『おしょ...
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著者から
『老婦人マリアンヌ鈴木の部屋』朝日新聞出版より発売中 私の21世紀は、病いと老いと死に要約される。 最初に倒れたのは父親である。85歳で、腸の悪性リンパ腫だった。マリグナント・リンフォマ、と今でも英語が口をついて出るのは、日本語のできない父のために、辞書を片手に病状を説明していた名残だ。 手術は成功...